Chimney角屋のClimbing log

基本的にはクライミングの日記ですが、ハイキング、マウンテンバイク、スキー、スノーボードなども登場するかも・・・。

無責任な山の先輩

2011-08-25 00:46:59 | 山とクライミングの話

今日BIG ROCKに行ってきました。姉御が「この方に山のことでアドバイスしてあげてほしいんだけど」と、ひとりの若者を連れてきました。まだ山を初めて2~3年のようだけどバリエーションルートに行きたくて「北鎌」を計画したのだそうだ。しかももっと経験の少ない仲間を一人連れて行くのだという。クライミング経験もなく冬山もやったことのない二人。山岳会にも所属していないし、ガイド山行もしたことがない。縦走登山は一生懸命にやっているらしいが、話していても、山に対する認識の甘さは感じられる。「山登りをしたことがないんですけど、私でも高尾山に登れますか?」と聞かれるのは納得がいく。でもバリエーションルートに行きたいというのに、あまりアドバイスを欲しがるというのは、その時点で危うさを感じてしまうのだ。もし彼が自分の会の会員だったら「やめろ」というが、彼の計画をやめさせる権利は、私にはない。

私が驚いたのは、彼がその程度の経験で「北鎌」に行こうとしているということではない。彼にアドバイスをした「山の先輩」の認識についてだ。「北鎌は入門バリエーションルートだから大丈夫」「ヘルメットやハーネスやロープは、持っていってもどうせ使わない」だから「登れる」などなど、そんなアドバイスを受けてきたらしい。そういう認識しかない山屋が北鎌に入っているということだ。何と恐ろしいことか。そしてなんと無責任なことか。条件が良ければ確かに「何でもない」と感じるかもしれない。でもそれは想像力の欠如だ。「もしこのルートで先行者がいなければ・・・」「もしこのルートで天候がわるくなったら・・・」「もしここでパートナーが怪我をしてしまったら・・・」「もしここで敗退しなければならないとしたら・・・」という想像が出来れば、きっと無責任なアドバイスは出来ないと思うのだが。そして彼に「登れる」などとは決して言わないと思う。

先週の「北鎌から西穂」の縦走でも、このルートに入っている登山者の危うさには唖然とした。かかわっていると時間がないので「見なかったことにしよっ」と先を急いだが、皆無事だったのか心配してしまう。たとえば6人のクライアントを1本のロープで確保しているガイド(?)。単独のバリエーションなのに自分の背丈より高い荷物を背負ってハアハアしている人。鎖に両手でぶら下がってプルプルしている人。自分でルートを判断できなくて、私が追いつくのを待っている人。

最近の登山ブームはうれしさの反面、こうなるという危機感も感じていた。山に危険人物が蔓延するのだ。(ある意味わしも危険人物かもしれないが・・・。)