12月16日、八ヶ岳の阿弥陀岳北稜から赤岳主稜に行ってきました。
パートナーが風邪をひいたということでキャンセル。しかし、もともと単独で計画していた山行だったので、そのために中止にすることはありませんでした。車に同乗していくはずだった別パーティーの二人も風邪で、前夜はさびしく一人で美濃戸に向かった。しかも親しい友人が亡くなったことを知り、テンションは大幅にダウン。この訃報を知った時には、流石に山に行きたくなくなったが、「こういうことを乗り越えてやりとおさなきゃ、皆のリーダーとして命を守ることが出来るのか」と思い、出発したのです。
朝6時40分に美濃戸を出発。8時過ぎに行者小屋につくが、風がすごい。稜線に雪煙が渦巻いている。今日は風が強いということは分かっていたが、ひる頃には弱まってくると予測していたので時間調整。でも気温も低く、装備を整えるのにも時間がかかる。2年前の凍傷の影響で、すぐに手足の指の感覚が無くなってくる。 9時10分に行者小屋を出発。文三郎道を右にそれて樹林に入る。阿弥陀岳北稜は人気ルートなので踏み跡はあるが、風の通り道では踏み跡も消され、膝から腰のラッセルとなる。ジャンクションピークまで来ると、強烈な風が右側から襲ってくる。
岩場の取り付きは、末端のやや左側。風をしのげる。
いつでもロープを出してソロシステムが出来る準備はしておいたが、結局ロープは使わず、岩場を越える。
しかし山頂までの雪稜は腰までのラッセルと強風に苦労した。
登って来た阿弥陀北稜を振り返る。
山頂には11時10分に到着。
行者小屋を出てちょうど2時間だ。
風の強さに赤岳主稜への継続は諦めようかとも思ったが、まだ11時10分だ。諦めるにはまだ早すぎる。
中岳をラッセルで越え、赤岳に向かうが、風は一向に収まらない。
今度は左から風が吹き付け、体が浮き上がりそうになる。
耐風姿勢をとっていても前に進めないので、ダブルアックスで飛ばされないように進む。
でも顔の左半分が動かせない。凍傷の危険があるので早く文三郎を下って高度を下げたい。
赤岳主稜の取り付きに着いたのは12時30分。
風は後ろから吹き付けるので、今までよりは楽だ。ただ指が冷たくて、温めてもすぐに感覚がなくなる。
でもこのルートは何度も登っている。さっさと登ろう。
岩を手で触ると、すぐに指が冷たくなってしまうので、ダブルアックスを多用する。
ゴーゴーと唸りを上げる風の音に混じって、ホイッスルの音が聞こえる。先行パーティーがいるようだ。
13時30分。赤岳主稜をちょうど1時間で登り切り稜線に出た。
日が当たり風をよけられるところまで行って自分撮り。
辛かったが、あまり時間はかからなかった。
風さえなければ楽な継続だっただろう。
地蔵尾根を下り始めると、全く別の世界。
行者小屋を素通りして赤岳鉱泉まで行き、ビールを飲みながらゆっくりする。
美濃戸に着いたのは4時でした。