9月26日。未開拓の岩場でルート開拓作業をした。
今まで私が開拓したルートは、下から登りながら支点を構築し登るスタイル。つまりトラディッショナルなルート開拓を基本にしてきた。しかし今回はスポートクライミングのエリアであることや、ラインが難しそうであることに加えフェースなので、ラッペルボルトの開拓になりそう。ロープにぶら下がって、あらかじめドリルを使った支点構築をするのは初めて。
ただ私は「ラッペルボルト」を否定しているわけではない。そうやって開拓されたルートをだって頑張って登るし、上手になるためにはトラディッショナルなルートばかりではだめなのもわかっているから。それに加え、ボルトルートは、純粋に登ることに集中できて楽しい。
だから今回は、今までトレーニングとして利用させてもらってきたボルトルートを、自ら開拓してみようと思う。
目標のラインは、少しかぶった25mのラインで、トップロープで登った感じでは、グレードは5.11c位だと思う。この日は岩の裏から回り込んで下降しながら、ホールドがつながっているかどうか確認し、作業用のフィックスロープを張り、作業用に手打ちの中間視点を打った。そしてトップロープで試登。
試登でもパンプしてしまったので、このルートの作業はここまでにしましたが、初心者にうってつけのラインがあったので、ルートを作りました。
10mほどの小さい岩峰ですが、登れば岩の上に立てます。
上級者が登ればボルトなどいらないかもしれません。しかしボルトを3本打ちました。
なぜなら、上級者が感じる「落ちない自信」は初心者に対しては通用しないからです。
どうせボルトを打つなら、そのレベルの人の安全を考慮して設計したほうが良いと思ったのです。
私は、初心者を岩場に連れて行くことが多いのですが、初心者にリードさせられるルートが少ないのです。
簡単なルートも上級者が作るので、「落ちっこないからボルトはいらない。」という気持ちで作ってしまいます。
でもそのグレードの人は、そんなルートをリードできないし、見ているほうもひやひやです。
だから初心者が登るルートは、ボルトの設定も初心者用にしたほうがいいと思ったのです。
本来私は、「落ちてはいけない」というクライミングを追及しているのですが、
一方で、落ちながら練習することも大切だと思っています。
トラディッショナルなルートでは「絶対落ちてはいけない」という場面も出てきます。
でもそういうルートを克服するためには、落ちながら腕を磨くことをしなければ、克服するのは難しいでしょう。
ですから、初心者でも死なずに練習できるルートは必要です。
開拓者は、このルートを登るであろう人を思ってボルトの数や位置を決めることが必要です。
しつこいようですが、私はあらかじめ支点が構築されているルートよりも、
自分で支点を構築しながら登るほうが好きですし、それが目標です。
でも、トレーニングとして、またはスポーツとして登るルートは安全であることを考慮しなくてはなりません。
この初心者用のルート。5.7 10m 中間のボルト3本。
「いいんですか」
「ボルトが多すぎる」という人がいると思いますが、初めてリードを体験する人の気持ちを、またはそういう人を連れて行く気持ちを考えたら妥当だと思うのです。
私はフリーソロでも構いませんが。