Chimney角屋のClimbing log

基本的にはクライミングの日記ですが、ハイキング、マウンテンバイク、スキー、スノーボードなども登場するかも・・・。

外出自粛要請が続く中で精神の自由を感じるとき

2020-04-19 00:48:35 | 日常

4月18日。新型コロナウィルスで「緊急事態宣言」が発令されて10日余り。好きな山にもクライミングにもスキーにも出かけていません。特にクライマーたちは、周りから自由人と思われている人が多いので、クライミングができないと発狂しそうな人とか、鬱になってしまいそうな人がいます。私だって山にも行けない、クライミングジムにさえもいけない日々が続くなんて望んではいませんでした。若いころの私でしたら精神的に不安定になっていたかもしれません。でも今はそうではありません。年を取ったからというのではなく、少し精神の自由というものを大切にしようと思っているからかもしれません。「幸せは勝ち取るものではなく気づくもの。」「わがままや自分勝手がなくなることこそ精神の自由」と感じられるようになってきたのかもしれません。そうなりたいと思ってきたから。

山に行けないからと言ってイライラしたり嘆き悲しむのは、精神が山に拘束されているからだと思うのです。私は山は好きだけれど、山に拘束されない。山からも自由だと思っています。クライミングも好きだけれど、クライミングに拘束されない。クライミングからも自由です。何事にも拘束されない。それが私の理想的な自由です。

山に行っていないと体力が落ちて登れなくなるとか、クライミングをしていないと下手になってしまうとか考えます。確かにそれはあるでしょうが、体力があるとか上手とかいうことにも拘束されたくありません。また1から始めて体力がついてきたりうまくなっていくのを楽しむことだってできます。弱くても下手でも楽しむことが出来れば精神は自由です。強くなくてはいけない、うまくなくてはいけないと思うと不自由になります。

人に注目されるような山登りをしたり、クライミングをしている人は休んでいる暇も惜しいと考えます。それはそれで尊いことだと思います。できるときには精一杯やるべきだと思います。やるからには頂点を目指すべきだとも思います。みんなでかけっこをするときだって、みんなが一等賞を目指して走るから面白いのであって、いい加減に走るのでは、はじめからつまらないものになってしまいます。だからできるときには全身全霊でやるのです。でもどうしてもそれをやることが出来ない状況の時がある。そういう時に心が乱れたり自暴自棄になってしまうのではいけません。

オリンピックも1年延びました。この7月に照準を合わせてきたアスリートはどんなにがっかりしたでしょう。誰かに思いをぶつけたいところでしょうが、ぶつける相手がウィルスです。そうなればここで心を乱すことなく、さらに1年、できる限りの準備を積み重ねるのが最善だということはわかっていることです。

普段は仕事以外は山やクライミングばかりで、ほかにやろうと思っていても後回しにしてきたことが、今こんな時にできるようになりました。1週間かけて、独立して家を出て行った次男の部屋を片付け、店の事務室が出来ました。人ごみを避けながらですが毎日ジョギングができるようになりました。孫と過ごす時間も増えました。幸せです。


新型コロナウィルスとクライマー

2020-04-09 00:54:18 | 山とクライミングの話

とうとう私のホームジム「BigRock」も、新型コロナウィルス感染拡大防止のために休業となる。我々利用者の健康と、世の中全体の安定のためにはもっともな決断だと思う。しかしオーナーや従業員の生活にとっては辛い決断でもあるだろう。でもこの苦難を乗り切って、再開したときには今まで以上に盛り上げたいと希望を捨てない。

こんな状況にある多くのクライマーは、ジムがだめでも岩場があるさ、と考えている人もたくさんいるようだ。確かにオープンエアーの岩場では感染リスクは低いかもしれない。自分が感染しないからいい。仲間にも感染させるリスクが少ないからいい。という考えているとしたら、もう一度よく考えてから行動してほしい。特に大都市圏に住んでいるクライマーは。

このような世界的危機の中でも穏やかに暮らしている岩場周辺の住民。彼らからしてみれば、我々が岩場に行くということは、極端な言い方だが新型コロナウィルスが来たという風にとらえられてもおかしくはない。オープンエアーの岩場だからいいじゃないかと思うかもしれないが、地元で手に触れるもの、接する人のことまで彼らは気にするはずだ。それが高じれば岩場の封鎖にもつながりかねない。今は来てほしくないと思っているのではないのだろうか。

昔、クライマーといえば世の中の反流人種のような人たちで、世の中に逆らったような態度でも、数が少なかったからあまり影響もなく相手にもされていなかった。でもその数が増えれば地元の迷惑ものになり、登れる岩場を失うことになっていった。しかしクライマーも岩場を守るために努力と反省をして、今登れる岩場を確保している。しかしクライミング人口が増える中で、このような経緯に無関心な、または知識のないクライマーもたくさん出てきてしまっている。このような問題を「アクセス問題」と言っているが、新型コロナウィルスも岩場の「アクセス問題」に発展する恐れがある。だから私は、今岩場に行くことを控えている。

私のようなものがこのような戯言を行っても、何の影響もないかもしれないが、影響力のあるクライマーは一考して、その考え方を多くの人に伝えてほしい。