Chimney角屋のClimbing log

基本的にはクライミングの日記ですが、ハイキング、マウンテンバイク、スキー、スノーボードなども登場するかも・・・。

物品提供という難しい問題

2011-05-02 01:00:59 | 災害ボランティア クライマー派遣

我々が行っている被災地でのボランティアの基本は、被災者に寄り添い、ともに汗を流し、ともに涙を流し、ともに笑う。地味な活動が基本だ被災者の方々に寄り添うことのできるボランティアが現地に行ってくれることを応援したいために「被災地にクライマーを送る会」を立ち上げた。

しかし現場を体験してきたボランティアの中には、「もっとやってあげられることがあるはず」と思って帰ってくるものもいる。特に男性ボランティアに多いようだ。現地で自分が残せたものに満足できないのだろうか。確かに満足は出来ないだろう。本当に自分に出来たことを振り返ると小さいのだ。でもまず、何かを残すという考えはボランティア本人の自己満足ではないか、良く考える必要がある。自分の功績を残してくるとか、自分を覚えていてもらうとか、そういうことはどうでもいいのだ。

でも、本当に現地のひとりひとりを心配して、「あの人にはこれが必要だった」と思い、必要なものを買い与えてしまう。それが公共性のある使われ方をするものなら問題は小さいが、そうでないものは、我々民間ボランティアには、マニュアル的にはタブーだ。個人に物品提供するためには巨額な資金が必要になる。それを工面できる可能性が無い限り、手を出すのは難しい。

被災地ボランティアのコーディネーターの経験のあるものは、物品提供に対して、非常に慎重である。拠点破たんの可能性を秘めた活動だからだ。特に今回の災害は、援助が長期間にわたることは確実だ。その間拠点を維持していくためには、途中で拠点破たんとならないように、注意深く行っていかなくてはならない。

いま「被災地にクライマーを送る会」でも、このタブーを打ち破ろうと考えている仲間が出始めている。資金は限られている。その資金も、そういった目的の為にいただいたお金ではない。それを繰り入れて活動しても、いま具体的に個人にしてあげようとしていることを実行し、同じような状況の方にも、同じようにしてあげるためには、今の資金の3倍の金額が必要になる。災害から2カ月が経とうとしている今、我々がそれだけの集金力があるのだろうか。

「何とか被災者の為に、直接的にお金を使いたい」と考える彼らの気持ちは、私にも十分理解できる。だから慎重に使い方を判断して、タブーにチャレンジして見るのもいい。YMCAに迷惑をかけないように自立してからやるべきである。そうでなければ失敗は許されない。現地の拠点を潰してしまうことになるからだ。もしかすると、被災地事態に混乱を引き起こす可能性だってある。

難しい問題だ。