タカ長のタカの渡り観察

タカが好き、山が好き、花が好き、心はいつも旅もよう。日々移ろいゆく心もようを綴るナチュラリストのつぶやきです。

想定外ってあるの???

2012年12月12日 | 山歩きから
南アルプスや北関東の山での山岳遭難事故が報道されています。

そのうちのひとつでは下山した登山者が記者会見、そのニュースをNHKでチョッとだけ見ました。そこで耳にしたのが「想定外」の雪だったということです。

その「想定外」と言う言葉に違和感を感じているのです。

確かに今回の寒波ではこれまでにない多くの雪が降ったようです。そのことは単なる自然現象で、私たちの理解を超えた何かがあったのでしょう。いまのように、地球上にいろいろなことが起こっている時代ですから、過去に経験したことのない自然現象が起きてもおかしくはないのでしょう。

私が違和感を感じるのは、このようなときに、いとも簡単に「想定外」と言う言葉が使われることに対してです。

今回遭難事故を起こした登山者がどの程度の雪を想定していたのかは知りませんが、そもそも明日の天気予報もまともに当てることが出来ない私たち人間が、山にどの程度の雪が降るかを想定すること自体が、私たちの思い上がりだとタカ長には思えるのです。

科学が発展して私たちはいろいろな知見を得ていますが、しかし、それも全体から見ると実に微々たるもので、それをもって「知った気」になっていると、自然から手厳しいしっぺ返しを食うことになるのではないでしょうか?

    

今回の遭難事故のニュースを聞きながら、タカ長は昔のことを思い出しました。三八豪雪のときのことです。

そのとき私は広島県の最高峰、恐羅漢山でスキーや登山を楽しんでいました。その予定を終わり、麓の古屋敷集落をあとにして内黒峠に登るとき、その集落の老人から、、、

「この雪の降り方はいつもと違うから、気をつけて、早く帰りなさい」と声をかけられたのです。そのときのことを鮮明に覚えているのです。その土地の天気は、その土地の人に聞くほうが下手な天気予報よりはるかに信用できる、と言うことの見本になるような事情をそのとき経験したのです。

その古屋敷から麓の町、戸河内に下りるには標高1000mの内黒峠を越えなくてはならないのですが、その峠越えをする間に間断なく雪は降り続き、峠道に降る雪は目に見えて多くなってゆきました。

そのときが三八豪雪の始まりで、その豪雪で私たちが越えた内黒峠でも遭難死した人も出ています。その豪雪でその古屋敷集落は壊滅的な被害を受けています。

       

今回遭難事故を起こしたパーティがどのようなパーティなのか、そして彼らがどのような準備をして、大荒れになることが予報されていた山に入ったのかはまったく知りません。そのためタカ長が今回の遭難事故のことにコメントすることは出来ないのですが、、、、、

山に入るにあたり、地元の人からも気象情報などを聞きだすなど、自然に対して謙虚な気持ちでいたら、遭難事故を起こす前に引き返すなどの手が打てたはずではないかと思えるのです。

   

夏には花が咲き乱れる山も、冬になり、、、、そしてひと荒れすれば非情な世界になるのです。今回のパーティはタカ長が言うまでもなく、そのようなことは分かっているはずだったと思いますが、、、、、

何かあると「想定外」と言う言葉を使ってしまうと、そこで思考が止まってしまい、事故の本当の姿が見えてこないと思うのですが、、、、、、いかがなものでしょうか???