住宅近く 降下訓練 嘉手納で爆音97・2デシベル 米軍 外来CV22旋回
【嘉手納】米軍嘉手納基地に22日飛来した米軍横田基地(東京都)配備の米空軍CV22オスプレイ2機が24日、同基地内でロープを使い兵士の降下訓練を実施した。嘉手納町によるとCV22による同基地内での降下訓練は初めて。米軍から嘉手納町や沖縄防衛局に事前の連絡はなかった。同機は町内の住宅地上空を複数回旋回する様子も確認され、騒音が発生。町が設置した騒音測定器の兼久局で、午前11時11分に最大97・2デシベルを記録した。町民から苦情が殺到し、當山宏町長は同日、緊急で沖縄防衛局に田中利則局長を訪ね抗議し、訓練の中止を求めた。(2・29面に関連)
沖縄防衛局や周辺の目撃者などによると、午前11時ごろから正午ごろにかけて約1時間、嘉手納基地内でCV22オスプレイから隊員がロープを使い降下する訓練が確認された。訓練場所は基地内で、住民地域から約200メートルの距離で実施。2機のCV22からそれぞれ隊員が機材を持った状態でロープを使い、地面に降り立った。
隊員が降下後、CV22は嘉手納町上空を旋回し、再び基地内で降下訓練を繰り返した。目撃者によると少なくとも1機から5人ずつ、2機で計10人が降下訓練したとみられる。
嘉手納町には町民からの苦情が相次ぎ、午前10時55分から正午までに「オスプレイが飛んでいてうるさい」など計22件寄せられた。1時間で来た苦情件数は過去最多という。町職員も役場屋上からCV22が町の住宅地上空を飛行する様子を確認した。
防衛局を訪れた當山町長は「住民地域に近いエリアで騒音をまき散らす訓練はこれまで全くなかった。住民感情を逆なでするような形で訓練が行われており、あまりにも苦情が殺到し大きな問題だ。直ちに訓練は中止していただきたい」と訴えた。
CV22は22日に3機が飛来し、米軍は飛来目的を「定期的な集団広域訓練」を実施するためと防衛局に回答していた。第353特殊作戦群は本紙取材に、「訓練は、この地域のあらゆる事態に対応するために必要不可欠」とした。
嘉手納、北谷、沖縄3市町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は騒音激化など周辺住民の基地負担の増大が懸念されるとして、CV22の嘉手納基地での運用に反対している。
(写図説明)CV22オスプレイからロープを使い降下訓練を実施する兵士=24日午前11時38分、米軍嘉手納基地(読者提供)
(写図説明)CV22オスプレイによる隊員の降下訓練が実施された場所
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CV22訓練「大問題」 嘉手納町長、防衛局に抗議
【嘉手納】米軍嘉手納基地で24日、CV22オスプレイが隊員の降下訓練を実施したことを受け、訓練の即時中止を求めて沖縄防衛局に緊急抗議した當山宏嘉手納町長。対応した田中利則局長に「苦情が殺到している。このままの状況が続けば大きな問題だ」と危機感をあらわにした。(1面参照)
要請は冒頭のみ公開。田中局長は「嘉手納で飛行することは特段聞いていたわけではない」と事前に連絡がなかったと明かした。米軍からは定期的な集団広域訓練のために飛来し、「特殊戦術隊員と共に海上での隊員回収訓練やMC130Jと戦術的空中給油訓練」を行う予定と聞いていると説明。その上で「この後、海上の訓練空域などで今申し上げた訓練が行われることなんだと思っている」との見解を述べた。
嘉手納町民から多数の苦情が寄せられていることには「米側に対し、航空機騒音規制措置にのっとって、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるよう改めて申し入れた」と話した。
要請後、取材に応じた當山町長は、2018年にCV22が横田に配備された後、嘉手納基地への飛来について「これまでは一時的な駐機で、(嘉手納以外で)訓練をして戻ってくることを繰り返していた」と指摘。CV22の事故率の高さを念頭に「危険性が払拭(ふっしょく)されていない機種で、住民の(反発する)感情も根強いものがある」と強調し、住民地域に近い基地内での降下訓練に憤った。
兼久局で97・2デシベルの騒音が記録され「日常的に続くとなると、町民の生活は維持できる状況ではない」と訴えた。
(写図説明)沖縄防衛局の田中利則局長(左)にCV22オスプレイによる降下訓練に抗議する當山宏嘉手納町長(右)=24日、嘉手納町の沖縄防衛局