久米至聖廟に使用料を請求へ 那覇市、違憲判決受け方針転換
儒教の祖、孔子を祭る久米至聖廟(くめしせいびょう=孔子廟)のために、那覇市が公園の土地を無償提供するのは憲法の「政教分離の原則」に違反するとした最高裁判決を受け、城間幹子市長は9日の市議会定例会本会議で「使用料を請求することで政教分離原則違反の解消に向け取り組む」と述べ、孔子廟を所有する久米崇聖会に使用料を請求する方針を示した。
市議会の行政報告で述べた。城間市長は使用料に関し「関係法令の確認手続きなどについて顧問弁護士と調整している」と述べるにとどめた。
また、孔子廟の在り方について「施設の改善すべきところを久米崇聖会と調整を進めていく」とした。
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最高裁が孔子廟を無償で市有地に提供するのは政教分離の憲法違反と確定判決を下した。
城間那覇市長はこれを受けて「違和感がある」などと、最高裁判決に反旗を翻す姿勢を示していた。
何しろ親分格の翁長前知事が最高裁判決に盾突いて「あらゆる手段で辺野古阻止」と主張、これを受け継いだデニー知事が反基地運動を展開中である。
城間那覇市長も同じく最高裁に盾突いて「あらゆる手段で孔子廟を私有地に誘致」と主張するかと思いきや、一転方針変更して「使用料を請求することで政教分離原則違反の解消に向け取り組む」と述べ、孔子廟を所有する久米崇聖会に使用料を請求する方針を示した。
ちなみに今回の第一次訴訟の判決では土地を無償提供するのは憲法の「政教分離の原則」に違反するという点に止め、使用料の請求にまでは言及していない。
そこで現在係争中の2次訴訟では、使用料の請求および孔子廟施設の撤去を請求している。
最高裁判決に対し琉球新報は社説で城間那覇市長と同じ違和感を示していた。
<社説>孔子廟「違憲」判決 宗教の本質論議避けた - 琉球新報
ところが通常なら双子の兄弟のように琉球新報に足並みを揃える沖縄タイムスが、「那覇市は違憲状態の解消に努めるべきだ」と社説で那覇市の違憲状態を批判した。
社説[孔子廟訴訟 那覇市敗訴]違憲状態の解消努めよ
公有地の無償提供という自治体の行為が、司法の場で憲法の禁じる「宗教的活動」と認定された意味は重い。那覇市は違憲状態の解消に努めるべきだ。
「米軍基地反対」のように琉球新報と沖縄タイムが一致団結して翁長知事を支援した場合と異なり、今回の違憲判断は琉球新報以外はほとんどのメディアが最高裁判決を認めている。
城間那覇市長としては親分である翁長前那覇市長が撒いた種の後始末で、頼りないデニー知事とのコンビで憲法違反の尻拭いをするのは引き合わないと判断したのだろう。
あっさりと前言を翻して「違憲状態の解消」を目指すようだ。
だが、第二次訴訟ので「施設撤去」の判決が出たら施設の所有権者が素直に撤去に応じるだろうか。
ちなみに孔子廟施設の所有権者は久米崇聖会である。
久米崇聖会側が「翁長前那覇市長が孔子廟の移設を勧めておきながら、今さら撤去には納得できない」と怒り、那覇市側に損害賠償請求の提訴をしたら、那覇市はどのように対応するだろう。
那覇市が被告の時は久米崇聖会と共同戦線で戦った。
だが最高裁で「撤去」の判決が出た場合、那覇市の「撤去要請」に唯々諾々従うとは考えにくい。
先ず久米崇聖会側に生じた損害は那覇市が辻(若狭町)に存在した旧施設を現在地に移設した経費、そして撤去後の現施設を他施設に移設する経緯等々。
那覇市側と久米崇聖会側のバトルが予想される。