<国立民族学博物館>
昨日「生き物の模写」に関する記事を書きましたが、
同じようにアイヌの人々は「言葉」に関しても、
非常に繊細な感性を持ち合わせていました。
何でもアイヌの人々の間では、
他人を貶めるような言葉は絶対に口に出さない、
あるいは他人と同じ名前は絶対につけない……
などの決まりがあるそうで、
もし仮に、誰かと同じ名前をつけた場合、
相手の災い等が自分自身に伝播するのだとか……。
まあ、現代人にしてみれば、単なる「道徳的」
「スピリチュアル的」な思考でしかありませんが、
「言葉」を扱う身にとっては、
非常に共感できる部分があるのも確かでして、
文字を持たない縄文時代の人々が、
自らが発する「言葉」に対して、
相当神経を払っていたのは事実だと思うのです。
恐らく、縄文の血を引くアイヌの人たちも、
言葉を操ることで「神」とつながり、
また、言葉を操ることで「災厄」を
起こすことも可能だったのでしょう。
「言霊」の効力や「言葉に宿る神」
の存在を肌身で感じていたからこそ、
自他の「命」を慈しむように、
慎重に言葉を選んでいたのかもしれません。