<出雲市・神戸川>
阿波を訪れたときもそうだったのですが、
「どんな切り口で話を書き始めるか」
という問題は、毎回非常に頭を悩ませる
テーマでして、特に出雲のように
「多種多様な側面」を持つ土地というのは、
ほんのちょっと切り取る角度を変えただけで、
読み手に与える印象ががらりと変わってしまいます。
阿波の神社を訪れる際には、
「資料の少なさ」に四苦八苦した一方で、
今回の出雲に関して言えば、
「資料の膨大さ」に圧倒されている次第。
とにもかくにも公に公表されている
本やデータの数量が桁外れなだけでなく、
著者それぞれの主張も千差万別なのです。
それもこれも、「出雲神話」という
何とも魅惑的な古代の物語が、
私たち日本人の「郷愁」を刺激して
止まないからなのでしょう。
古今東西、多くの専門家や知識人、
一般の歴史マニアに至るまで、
「イズモ」という響きが生む魔力に惹きつけられ、
出雲という土地を語りつくしてきました。
恐らく出雲には、他の土地以上に多くの人々の想念が、
幾重にも渦巻いているのかもしれません。