たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

鹿と海人族

2018-08-15 09:41:58 | 阿波・忌部氏2

<春日大社 かすがたいしゃ>

 

忌部氏の祖神である天太玉命には、

いくつかの「鹿」に関わる伝承が残っていました。

例えば、記紀の岩戸隠れの件で、

天太玉命が天児屋命と共に行った

太占(ふとまに)という儀式は、

鹿の肩甲骨を焼いて吉凶を占ったため、

別名「鹿卜(かぼく)」とも呼ばれています。

 

また、藤原氏のシンボルでもある鹿は、

もともと春日氏(和邇氏)に由来する動物で、

藤原氏は春日氏の配下に属する氏族だった

という話もあるのだとか。

和邇氏など海人族系の氏族は、

鹿が海や川を泳いで渡る習性を利用し、

鹿の追い込み猟を行っていたそうです。

 

つまり、「鹿」という動物は、狩猟民族だけでなく

海人族とのつながりも深かったわけですね。

春日氏の領地であった春日大社の土地や、

物部氏の領地であった鹿島神宮の土地を手に入れ、

自らの氏神とした藤原氏という一族は、

各地の海人族を支配下に組み入れた証として、

「鹿」を自らのトーテムとして掲げたのでしょうか……。