<春日大社 かすがたいしゃ>
鹿をシンボルとする藤原氏という氏族が、
同じく鹿をシンボルとしていた
古代中国の扶余族の末裔だったと考えるのは、
ごく自然な流れだと思われます。
同時に、藤原氏の氏神・春日大社の大元が、
物部氏とのつながりも深い
鹿島神宮であることを考慮すると、
物部氏こそが扶余族の出身であったと
捉えるのもまた間違いではないのでしょう。
そしてさらには、「鳥」に象徴される忌部氏も、
「鹿」を重要視していた痕跡が見られるのですね。
実は、阿波忌部氏が古代より製作を担ってきた
「麁妙」の「麁」の古い字体は、
鹿という文字が三つ重なってできたもので、
阿波忌部氏が関係する神社のご神宝にも、
鹿の角などが存在するのだとか。
もしかすると、「鹿」をトーテムとした扶余族は、
高句麗(狛族)という新たな国を作ったあと、
さらに「鳥」の逸話を自らの部族の
伝承として加えたのでしょうか……。
恐らく、忌部氏の中には、
「鹿」を神使としていた一派と、
「鳥」を神使としていた一派とが、
混在していた可能性もあるのかもしれません。