<山崎・忌部神社 やまさきいんべじんじゃ>
祖谷地方に伝わるわらべ歌の中に、
祖谷の空から降ってきた御龍車から、
「諸国の宝」が降ろされたという歌詞が出てきます。
これまでの妄想を元に考えれば、これらの宝は、
淡路島を目指してやってきた各地の部族が、
天皇への恭順を示すために忌部氏に託した、
先祖代々伝わる神宝だったのかもしれません。
恐らく、各部族のトーテム動物に関わる何かを、
天皇の祭祀族である阿波の忌部氏に手渡すことは、
自らの神を差し出すことと同等だったのでしょう。
特に、日本の先住民の血を濃く引き継ぎ、
渡来系部族以上の祭祀力を有していた
海人族(鹿の皮を身にまとった人々)を
天皇一行の味方につけることは、
避けて通れない関門だったのだと思われます。
優れた霊力を宿す海人族の鹿皮を身に着け、
海人族の神と一体になってはじめて、
「真の天皇」が誕生したというわけですね。
そののち、鹿皮は「麻」の反物に変わったものの、
「麁妙」という名称だけは、
今に引き継がれのたかもしれません。