<神倉神社 かみくらじんじゃ>
今回の旅のテーマに「無社殿神社」を選んだとはいえ、
日本有数の聖地が点在する熊野には、
たくさんの「メジャーな神社」が鎮座しており、
それらを無視するのもまた不自然な話です。
ゆえに、無社殿神社を巡る途中で、
いくつかの有名な神社にも参拝したのですが、
改めて振り返ってみるとそのどれもが、
もとは「巨石」や「大滝」や「大樹」など、
大きな自然物を信仰としている場所だと気づき、
熊野の地の原風景を垣間見たような思いがしました。
例えば、御燈祭(おとうまつり)で知られる神倉神社は、
神武天皇が紀伊半島に上陸した際に
立ち寄ったともいわれる場所ですが、
山の上の社殿の横には大きな磐座があり、
岩と岩の間に白石がぎっしりと敷き詰められています。
色鮮やかな朱色の社殿は、どちらかというと添え物で、
お社に収まりきらないほどの巨大な磐座は、
眼下に広がる新宮の市内からも見ることができます。
ちなみにこの巨石は「ゴトビキ岩」と呼ばれ、
現地の方言で「ヒキガエル」を意味するそうです。