<入谷・地主神社 いりたにじのしじんじゃ>
熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社が、
もともとは自然崇拝の聖地だったといわれるように、
熊野地方には今なおその姿を古代のままにとどめる、
「自然信仰の痕跡」があちこちに見られます。
もしかすると、様々な歴史的経緯の中で、
すでに全国各地から姿を消してしまった
「神社の原型」をかろうじて伝えているのが、
この熊野地方の無社殿神社群なのかもしれません。
ちなみに、熊野地方における無社殿神社は、
「高倉神社」「矢倉神社」「地主神社」
などと名づけられていることが多く、
場所によっては「●●さん」と、
地元の人しかわからないような
愛称で呼ばれているところもあります。
ただ、それらの対外的な名称がつくまでは、
すべてがただの「岩」「滝」「木」などであり、
名もなき「神さん」だったのでしょう。