すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第380号 国旗から見える世界

2006-07-10 17:27:20 | Tokyo-k Report
【Tokyo】Wカップが終わりました。26日間に及んだ大会期間中は、サッカーのおかげでやたらと「国旗」が目に焼き付きました。ナショナル・カラーとでもいうのでしょうか、サポーターたちは顔を国旗色でペイントし、汗と涙でどろどろにして純真でしたね。まことに国旗とは、純朴な国民の心をわしづかみにするものです。なかにはW杯とは無縁ながら、孤独な存在感を示す国旗が一枚ありました。さて皆さん、ここに掲げた国旗の国名を、すべて言い当てられますか?

上段左からイタリア、フランス、ドイツ。そうです。W杯1、2、3位国です。中段はガーナ、サウジアラビア(ここまでがW杯出場国)、キリバス。そして下段は中国、フィンランド、北朝鮮です。これら9カ国を選んだのは、私なりに意味があるところで、同時にこれ以上選ぶことは面倒だったせいもあります。

今回のW杯決勝戦は、緑と青の戦いだったことが、こうやって国旗を並べてみるとよくお分かりでしょう。イタリア国旗は国土(緑)、雪(白)、情熱(赤)を表し、フランス国旗は自由(青)、平等(白)、博愛(赤)を示しているのだそうです。白と赤は共通しているとして、緑と青、つまり「国土」と「自由」を賭けた戦いだったのです。結果は「国家が自由を上回った」ということなのでしょうか。

さてガーナの国旗は、赤は独立で戦った人々、黄は地下資源、緑は森と農地を表しているのだそうですが、アフリカ各国の国旗には確かに緑・黄・赤が目立ちます。アフリカ3原色とでもいえそうです。特に濃い黄色。そして星をあしらっている国も多い。アフリカの典型的な国旗として掲載しました。

サウジアラビアの国旗は、聖地メッカを守護する剣とともに「アラーのほかに神は存在しない。マホメットは神の預言者である」と書いてあるのだそうです。緑はイスラム教の聖なる色なのです。意味は分かりませんが、デザインということだけからいえば、よくできた旗だと思います。

キリバスは太平洋の赤道直下に浮かぶ小さな小さな島嶼国です。国旗は南太平洋に昇る朝日とカモメがデザインされています。ざっと眺めた国旗の中では、最も楽しい図案なので掲載しました。GNPはごく貧しい国ですが、こんな国旗を掲げる国民生活は楽しそうではありませんか。

そしてご存知中国の「五星紅旗(ごせいこうき)」。赤は共産主義、大きな星は中国共産党、小さな4つの星は労働者、農民、知識階級、愛国的資本家を表しているとか。楽しくも何ともない旗ですが、私はどうもこの赤と黄色のバランスに馴染めないのです。中国を旅行していると、この赤と黄色の洪水の中を行くことになります。

フィンランドは、一番すっきりとしたデザインの国旗だと思い、取り上げました。「青は湖と空を、白は雪を、十字はこの国が北ヨーロッパの一員であることを表している」(インターネット「世界の国旗」から)のだそうです。さすがに北欧デザインの国らしく、すばらしいバランスです。

トリは孤高の北朝鮮。「青と赤は伝統的な民族の色として親しまれているもの。また、赤は社会主義のシンボルの色であり、青は平和への希望を、星は社会主義国家の建設を表している」(同)という高邁な理念を込めた国旗のようです。ただ日本から眺めていると、拉致とテポドンのシンボルのように見えてしまうのは何とも不幸です。朱がかった赤と紫がかった青のバランスは、明るさに欠けるのではないでしょうか。

北朝鮮だけサイズが小さいのは、他は外務省のホームページから転用したのですが、さすがに外務省、国交のない北朝鮮の国旗は「世界の国旗」というページから除外していて、サイズをそろえることができなかったのです。決して偉大なる将軍様にケチをつけようという意図があったわけではありません。

さて、何が言いたかったかというと「色」についてです。パソコンの発色力では限界がありますが、各国の同じように見える赤や青でも、それぞれ微妙に違います。ドイツの3色は、19世紀の統一運動時に学生義勇軍が着ていた黒マント、赤い肩章、金ボタンに由来しているという、ドイツらしいいかめしさがいささか重苦しいのですが、今回のW杯でスタンドを埋めたドイツ・レッドは、中国を旅するとやたらと目に入るチャイナ・レッドと比べると落ち着きと輝きがあります。特にそれが黄色(金色)と組み合わされると顕著です。

これらはそれぞれの歴史と文化に根ざし、人類の多様性を証明しているようなものですから、安易に良し悪しは論じられませんが、色や形の組み合わせでパワーを生むデザイン力は、国民性によってずいぶん違うということです。私は純粋な東洋人ですが、デザイン感応性向はヨーロッパ、それも北方にシンパシーを抱くようなDNAをしているようです。

「色」について論じたついでに、わが「すずめ通信」の色合いも更新したいと思います。鬱陶しい梅雨空には飽き飽きしましたので、ひと足早く夏空をイメージして・・・。
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