すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第15号 オーナー辞任

2004-08-16 12:07:15 | Tokyo-k Report
 アテネから、日本選手の感動的活躍ぶりが伝えられる中、プロ野球「読売巨人軍」の渡辺恒雄オーナーが辞任というニュースが飛び込んできた。大学球界の金の卵に、巨人軍スカウトが現金を渡していた、その道義的責任をとってという理由だった。五輪選手たちの爽やかさに比べ、「野球業界」のいかに汚れていることか。そのことを見せ付ける事件だが、私が瞬間的に覚えたのは「あっ、渡辺オーナーは逃げたな」という感覚だった。

 球界のドンなどといわれて、本人は気持ちよかったのかどうか知らないが、その発言を聞く限り、この人は慢心し切っていた。球団合併、1リーグ制移行問題に関し、「野球協約どおりに議論している。何が悪い」「無礼者、たかが選手が」といった発言を連発し、野球フアンの怒りを買ったばかりでなく、野球などどうでもいいという普通の市民たちからも「老醜だなあ」と嫌悪されてしまった。

 機を見るに敏な新聞記者上がり、もう面倒だとあとは子分に任せ、自分はさっさとカーテンの陰に引っ込んだ、といったところが事の真相ではないか。深く反省しているようなコメントを発表しておきながら、実は読売新聞グループのトップの座は譲らず、新聞紙面の最終権力者である「主筆」の肩書きも離さない。子会社のオーナーを辞任したからといって、この老人の権力はいささかも殺がれていないのである。

 このドタバタのあとに残されたのは、スカウトから「栄養費」という現金を押し付けられ、退部を余儀なくされた選手の受けたダメージである。1リーグ論の混迷に嫌気のさした老人が、舞台から見えを切って隠れる舞台装置のように利用された若者は、野球の道を閉ざされたとはいえないまでも、生涯の傷を負った。

 読売新聞は、卑しくも報道機関であるなら、紙面においては今回発覚した球界の金銭汚染の実態を徹底的に暴き、野球界の堕落を追及すべきである。同時に社内にあっては、老害支配を排除する自浄作用を発揮すべく、社員が立ち上がる時だろう。しかし、野球フアンの不買運動に怯え、元凶をカーテンで隠すことに汲々としているのだろうな、この新聞社は。
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