第761号 ピアノの格闘技

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【Tokyo-k】このところ映画の話がよく掲載されているが、昨日NHKで観たETV特集は出色の面白さだったので、書いておきたい。以前、随分話題になった、米国？でのピアノの国際コンクールで優勝した全盲のピアニスト「ノブ君」の、コンクールで優勝するまでを追ったドキュメントだ。よくこれほど取材していたと驚かされたが、編集が実にうまくできていて、なまじっかな映画より遥かにスリリングで引き込まれた。

音楽やコンクールには全くの門外漢の私であるから、すべてが新鮮で、国際コンクールが、まるで格闘技のような激しい精神の火花を散らす場であるとは、想像もしていなかった。ピアノのテクニックはもちろん、音楽に対する思想、オーケストラや管弦楽団との精神的交流まで審査の対象になるという、全人格が評価されるプレッシャーに、数週間晒される若者たち。

そうした中で「ノブ君」の、素晴らしい人格が光りを増して行く。優勝したのだと知ってはいても、ファイナルに選ばれ、金賞を受けるその都度、手を握りしめ、快さいを叫ぶ自分がおかしく思えた。今回は珍しく、NHKに賞賛を惜しまない気分だ。だからNHKよ、ぜひ再放送してくれないか。そしてその日時を、事前に教えて欲しい。タイトルも忘れたのだが、録画して《保存》したいのだ。