すずめ通信

すずめの街の舌切雀。Tokyo,Nagano,Mie, Chiba & Niigata Sparrows

第1177号 映画「リンカーン」

2013-04-27 17:51:44 | Mie Report
【Mie】スティーブン・スピルバーグ監督のこの映画は、今年のアカデミー賞・作品賞ほか12部門にノミネートされ、主役のリンカーンを演じたダニエル・デイ=ルイスが3回目の主演男優賞を受賞したほか、美術賞の2部門を受賞した。

ストーリーは、アメリカ第16代大統領リンカーンが、奴隷制度廃止の合衆国憲法修正第13条を下院議会で可決成立させるまでの苦闘を描いた作品である。物語は、リンカーンが大統領に再選されて、南北戦争が4年目を迎えるところから始まる。

戦争の大勢は大統領が率いる北軍に傾いていたが、南軍との和平交渉を進める前に、何としても議会で憲法の修正案を可決させ、奴隷制度を永遠に廃止するのがリンカーンの念願だった。なぜなら、先に和平交渉がまとまれば、奴隷制度はそのまま残ってしまうからだ。

修正案は上院では可決されたものの、下院では可決に必要な2/3の議員票に20人足りない。リンカーンは部下に命じて多数派工作に乗り出し、敵対する民主党議員の切り崩しにかかる。果たして多数派工作は成功し、修正案を可決成立させることが出来るのか……。

「すべての人に自由を」という信念のもと、リンカーンが奴隷制度廃止に向かって苦闘する様子がサスペンスフルに描かれる。最後に凶弾に倒れるまでの晩年の政治行動や、妻や息子との葛藤など、これまであまり伝えられなかった彼の私生活が描かれる。

ダニエル・デイ=ルイスがリンカーンになりきって、まるで実物のリンカーンを見ているような錯覚に陥る。リンカーンの内省的で奥行きの深い人間像を見事に表現した彼の演技力は高く評価され、それがアカデミー主演男優賞を受賞した理由だろう。

リーダーとしての資質を備えた政治家は、自らの信念と理想に基づいて、自らの発する言葉で国民や他の政治家たちを説得する力が絶対に必要であることを、この映画は教えてくれる。日本の政治家も是非この映画を観て、少しはリンカーンを見習って欲しい。

他には、民主党でありながら奴隷解放急進派で、修正案に賛成するスティーブンス議員を演じたトミー・リー・ジョーンズの存在感あふれる演技が印象に残る。ただ、リンカーンがアメリカの歴史上の人物であることが、日本人の私にはいまひとつ感動に乏しい。私の評価は、100点満点で70点。

(冒頭写真は映画のチラシより)



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