まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

野菊のごとき君なりき

2017年11月16日 | 日記

競馬の菊花賞は終わってしまいましたが
新宿御苑では菊花展が開催中。
菊づくりの達人たちが自慢の作を競っていました。

菊の花は日本の国花です。
国会議員のバッチにもパスポートの絵柄にも
菊の花があしらわれています。
だからと言う訳でもないのでしょうが不思議な威厳があります。
懸崖〈けんがい〉と呼ばれるつっかい棒のようなもので
花の豪華さ分厚さを強調するのが常のようです。
まさに様式美の極致を思わせます。
ただ、豪華すぎで個人的には余り好きくないなあ
などと思いつつ見ていると・・・



おお、私好みの小さくて可憐な菊が!
まるで線香花火がパチパチとはじけたような風情です。
何という種類の菊かと思ってみると
古くから熊本県で栽培されてきた「肥後菊」という種類の菊でした。
刃物の「肥後守」や芋の「肥後ずいき」は知っていても
花の「肥後菊」は初めて知りました。
まさしく豪華さとは対極にある素朴なたたずまいです。

これもいいですねえ。
まるで道端にひっそりと咲く野菊を思わせます。
そういえば木下恵介監督に「野菊のごとき君なりき」という
恋愛映画の名作があったのを思い出しました。
伊藤左千夫の小説「野菊の墓」を脚色したモノクロ作品で
結局、身分の違いゆえに結ばれぬまま
死に別れてしまう幼馴染みの政夫と民子の悲恋物語でした。
政夫役が誰なのかも、民さんを演じた女優の名も
すっかり忘れて思い出せません。
野菊の花が咲き乱れる信州の美しい風景だけが
瞼に焼き付いています。