紅葉真っ盛りのこの季節
公園だけでなく美術館だって紅葉の盛りである。
東京国立近代美術館。
この季節の恒例で
常設展には東山魁夷の紅葉が展示されている。
今やすっかり美術館の風物詩である。
これなど色彩といい構図といい
まさに「完璧な紅葉」言ってもいいのでぱないだろうか。
この世に完璧などないと思いつつも
この寸分の狂いもない東山画伯の様式美を見ていると
ひょっとしてこれこそ完璧ではないのかと
思わ腑に落ちてしまうのである。
これは「秋翳」という作品である。
以前、テレビの美術番組で紹介してからというもの
すっかり気に入って紅葉と言えばこの絵を思い浮かべてしまう。
と、ここまで書いてきて・・・
確か去年も同じ絵を紹介したことをやっと思い出す。〈笑〉
秋が翳ると書いて秋翳(しゅうえい)。
これは完璧というより「渾身」の紅葉だろうか。
上越国境の一軒宿「法師温泉」の裏山を描いた東山魁夷の代表作だ。
その山肌にじっくり目を凝らしてみると・・・
一本一本の紅葉の描き分けと
その壮大なグラデーションが凄いのである。
橙、朱、紅、黄、ピンク・・・
いったいどれだけの色彩が使われているのか。
小さな色面に分けられた錦秋の木立が
まるでパッチワークのように幾重にも重なり合いながら
溶けあいながら山肌に奥行きを与えている。
この表現にたどりつくまでには
おそらく途方もない労力と試行錯誤があったのでないだろうか。
深い精神性さえ感じさせる、まさに渾身の紅葉である。
東京国立近代美術館の常設展で
いつでも300円で観られるので、皆さんも、ぜひ!
芸術の秋、たまには美術館でも・・・