平成25年4月26日(金)
浜松市の山間部、春野町杉地内の門島地滑り現場を視察してきました。視察したのは、静岡県議会治山砂防事業推進議員連盟所属議員10名と県交通基盤部森林保全課及び砂防課の職員です。
既にマスコミで毎日報道されていますので、この内容について承知されている方も多いと思います。現場はJR浜松駅から北東に車で約1時間40分の距離にある山間部で、天竜川の上流、気田川のさらに上流の杉川が流れる、天竜杉を生産し茶畑が広がる地域です。
今までの経緯を説明しますと、3月21日に住民から崩壊上部にある茶畑内に亀裂があるのを発見。25日より県が観測を開始しました。4月19日には警戒レベルの移動量である1日に10ミリを観測したために、地域住民に状況報告。さらに、21日23時50分には非難レベルである1時間に4ミリを観測し、危険地域の6世帯24名に避難勧告を発令し、22日の夜半1時に避難が完了。その翌日23日に斜面崩落が発生しました。崩壊規模は幅約80m、高さ約90mほどで土砂量は約5万立方メートルとされています。この土砂は杉川をせき止めてしまいました。
(崩落場所は浜松市北東部の50km以上入った山間部)
(崩落初期)
(2回目の崩落)
(専門家の調査の様子)
(杉川が崩落による土砂でせき止められ仮の排水路を設置した)
(仮排水路を流れる杉川の水)
その後も崩落は続き、25日夜10時過ぎには川上側斜面が、26日夜にも川下側斜面で大きな崩落が発生しました。私たちが視察中にも崩落を見ることができ、不気味な音を立てて土砂とともに大きな落石も確認できました。
現地では、せき止めてしまった杉川の流れを確保するために、幅20m、延長230mの臨時水路を確保。最上部の茶畑にはさらに亀裂が広がっているため、伸縮計による移動量の監視強化、ボーリングによる滑り面の確認、移動杭による平面的な移動量の監視強化などが24時間行われています。
(崩壊が杉川まで達してせき止めた)
(右側が仮排水路)
茶畑の背後には二軒の民家があり、今後の推移が大変気になるところです。また、崩壊現場の下部には四軒の民家があり、大規模崩落の可能性も否定できないことから、立入禁止となっています。
(崩壊地の下にある民家。お茶の葉も刈り時となったが放置されている)
(付近は砂防指定地で地滑りが起きやすい地域)
この崩落現場は、国の災害関連地滑り事業に認定されるようですが、これに伴い国の補助が受けられます。しかし、県の負担もあり得るということで議会としての支援も検討していかねばなりません。
(崩壊地を背後に県担当者から説明を受ける)
(説明を受けている最中、新たな崩落が発生した)
(国土交通省から派遣された現場を照らす照明車)
(報道陣も多く24時間体制)
現在崩落が続いているため、これが止まるまでは人が近づけず対応がとれません。とはいえ、手をこまねいているわけにはいきませんので、25日には無線操縦のへりを飛ばし、空中撮影や測量を行ったそうです。
(空撮用の無線操縦へり。県が依頼したへりではなさそう)
長期化が予想されるために、土砂で埋まった河川のバイパス工事や避難住民のための仮設住宅建設の検討に入りました。
非難されている住民の皆様と直接意見交換する機会はありませんでしたが、県関係者によれば、健康状態は良好とのこと。しかし、長期化になれば様々な課題もあり得ることで、県・市行政も注視していかねばなりません。そうなれば議会としての支援も必要となります。
県担当者の説明の中で、崩壊後の水路確保や土木技術が必要な箇所への工事などが短期間で実現することができましたが、地元土建工事事業者の協力がなくてはなし得なかったと話していました。しかし、今回はたまたまうまくいったものの、ここ数年の間にこの技術を持った各地の地元業者が減少していることに、大きな懸念を抱いているとのことでした。
防災対策や公共インフラの寿命到来による延命化・更新などが迫っている中、土木技術者や企業の確保は、政策課題の一つとして重要であることを再認識しました。
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