とある人に薦められて、「ぼくらの」を見ました。このアニメ、昔、インターネットラジオでメレ様・平田裕香さんがおススメしていたこともある作品だったので、一度、見てみたいと思っていました。作品全体を通じて、宇宙とは何か、生きるとは何か、戦うとは何かというメッセージが込められていたように思います。
特に13話に出てきたコエムシの台詞は、とても印象的だったので、以下、抜粋しておきます。
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宇宙が無限で無数の星が存在するのと同様に
時間と空間を越えた場所
つまり無数の時空も存在する
その時空のひとつひとつには、
おまえたちのと同じ地球も存在するってわけさ
(中略)
平行世界って言ったほうがしっくりくるかもな
(中略)
テメエらが負けるとテメエらの地球が消滅する
つまりなかったことになる
だが、それだけじゃねえ
テメエらの地球の時空に囚われている
宇宙全体が消滅するのさ
(中略)
よその宇宙を消し去ってお前らはここに生きてんだ
強いものだけが生き残る
それがこの宇宙のルールさ
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この抜粋の前半部分は、いわゆる科学の分野で言われるところの「多世界解釈」と見なせばよいでしょう。つまり、私たちが同時に認識できないだけで、実は無数の時空なるものが存在しており、その無数の時空には、私たちが住んでいる地球もあるわけです。このことは、たとえ突飛な話に聞こえたとしても、現代科学の見地から考えて、何も辻褄が合わない話ではなく、むしろ、現代科学が解明できない謎について、こう考えた方がスッキリすると考える人々がいるのです(「優等生なアインシュタイン」、「揺らめく現実世界」等参照)。
私としては、物語のテーマとして、これを持ってくるあたり、とても興味深いアニメだと思いました。
さらに、上記抜粋の後半部分は、これからの戦いを考えるという点で、誠に意味深い内容を含んでいるように思います。「負けると宇宙全体が消滅する」というのは、宇宙と人間の関係を考える上で、とても重要なメッセージが込められていると思うのです。
私の解釈は、以下のような思考を通じて行われています。
1.人間は一人一人の四次元世界(精神世界)を持っている
※「確からしい四次元の存在」参照
人間に限らず、あらゆる生命体はそれぞれ精神世界を持っているであろうと考えられます。これは私たちが視認できる物質世界(三次元の空間世界、あるいは宇宙)の上の次元として存在すると思われます。
2.各四次元世界は無数の三次元世界(宇宙)を内包している
三次元世界(空間)の中に、無数の二次元世界(平面)が存在しているのと同様に、一人一人が持つ四次元世界には、無数の三次元世界(宇宙)が存在するであろうと考えられます。それは、四次元世界的(精神世界的)作用である妄想や夢、単なるイマジネーションのようなもので形成が可能と考えることができます。
3.無数の宇宙は各人の精神葛藤の末、淘汰されている
※「四次元戦争の時代」参照
人間はいろいろな妄想や夢を見たり、多くの葛藤を重ねながら、無数の可能性(無数の宇宙)の中から一つを選択していきます。この時、選ばれなかった可能性、つまり捨てられた三次元世界(宇宙)があることになり、これが「他宇宙の消滅」を意味し、「よその宇宙を消し去ってお前らはここに生きてんだ」の台詞に繋がってくるものと思われます。
4.この淘汰により、無数の宇宙は一つに収束してきている
※「宇宙が膨張を続けるカラクリ」参照
ただし、淘汰された宇宙は、単に消滅するのではなく、選択された宇宙に吸収されるものと考えることができます。即ち、夢が単なる「妄想」と化し、現実にならなかったものとして、選択された宇宙に吸収されるということです。これの繰り返しにより、宇宙は膨張を続けていきます。このことは、この宇宙自体が超巨大ホワイトホールであるという仮説を立てることにより、説明できるのではないかと思われます。
5.無数の四次元世界(個々の精神世界)は、五次元世界に存在する
※「五次元世界へのヒント」参照
魂を持つあらゆる生命体に、それぞれ精神世界(四次元世界)が存在するということは、即ち、この無数の四次元世界を存在させ得る、さらに高次元の世界があると考えなければなりません。そうすると、ここに五次元世界の存在を認めることになります。
6.全生命が等しく認識する宇宙は、各四次元世界の交点にある
※「交差点としてのこの宇宙」参照
ある一人の人間が視認している宇宙は、一人の四次元世界が収束した結果(「4」の結果物)ですが、さらにそれが他の人間や生命体にも視認されているということは、「この宇宙」がそれら無数の四次元世界の交差するところに存在していると言えます。
7.無数の四次元世界内の無数の三次元世界が一つに収束している
したがって現在、私たち全員が認識している、この三次元世界の収束は、単にひとつ(一人)の四次元世界(精神世界)のなかにおける無数の三次元世(宇宙)が収束しているのではなく、無数(全生命体)の四次元世界内の無数の三次元世界がひとつに収束していると解されるわけです。つまり、宇宙の膨張は、五次元世界のレベルで起こるほど、とてつもない規模で進行している可能性があるということです。
こうして解していくと、「ぼくらの」で語られる、宇宙消滅をかけた戦いというのは、本来、一人一人の精神世界における戦いであり、さらには共存する無数の生命体間での精神戦を指すのではないかと思うに至ります。そして、その結果として、この宇宙は膨張を続けるのであり、その戦いに敗れた宇宙は消滅し、勝利した宇宙に吸収されていくということになるわけです。
「ぼくらの」は、アニメ作品ですので、そうした精神戦を分かりやすく視覚化し、ロボット同士の戦いとしたように思います。この作品を、どのように解釈するかは、それこそ各人の自由でしょう。ただ、私なりには、そこに見えない四次元戦、五次元戦の姿があるような気がして、またそれが、非常に的確に宇宙の真理を突いている気がして、とても楽しく見ることができました。
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