「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」、いよいよ佳境に入ってきました。来週、ついに最終回です。そんな中、先日なかなか興味深い台詞のやり取りがありました。キャラの名前が分からないので、以下、「白い奴」と「黒い奴」でまとめさせていただきました(「黒い奴」は、フラスコの中の小人・ホムンクルスですね)。私なりに、これらはそれぞれ「神」と「悪魔」に置き換えて呼んでもよいのだろうと思っています。
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■黒い奴
なぜだ?なぜ私の物にならん?
神よ、何が気に入らないのだ。
□白い奴
お前は己を信じないからだ。
他人の力を盗み、人から生まれたもののくせに神とやらにしがみついていただけだ。
お前自身が成長しておらん。
7つの欲を切り離せば、人を超えられるとでも思ったか?
笑わせるな。
■黒い奴
私は完全な存在になりたかった。
この世のすべてを知りたかった。
欲して何が悪い。望んで何が悪い。願い求めて何が悪い。
・・・何だ?何だ、お前は?何だっていうんだ?
何様のつもりだ、お前は?!
□白い奴
私は、お前たちが世界と呼ぶ存在。
あるいは宇宙。あるいは神。あるいは真理。あるいは善。あるいは一。
そして、私はお前だ。
思い上がらぬよう、正しい絶望を与えるのが真理。
(中略)
だから、お前にも絶望を与えよう。
■黒い奴
戻りたくない。嫌だ。
やめろ、そこに縛られ続けるのは嫌だ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
□白い奴
思い上がった者に絶望を。
■黒い奴
私はどうすればよかったのだ。
□白い奴
お前が望んだ結末だ。
■黒い奴
どうすればよかったのだ。
□白い奴
お前はその答えを見ていただろうに。
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特に、「欲して何が悪い。望んで何が悪い。願い求めて何が悪い」という部分、個人的には大好きです。
-悪いとは言わないが、身の丈に合わぬ物を欲した責任は取られよ-
やり取りを見ながら、思わず間に割って入って、こう答えたくなる自分がいました。
自分の馬鹿さ加減に気付かないのが、本当の馬鹿です。黒い奴、即ち悪魔は、自分の実力をわきまえず、分不相応な欲に支配された救いようのない「大馬鹿君」なわけです。「大馬鹿君」が大そうな物を欲すると、世界に大きな歪みが生じ、周りが大変な迷惑を被ります。「大馬鹿君」はそのことに対する責任、自分が「大馬鹿君」であることに気付けなかった責任をきっちりと取らなければなりません。酷ですが、それが摂理というものでしょう。
そして一方で、「大馬鹿君」ほど可愛いものもありません。
-お前はその答えを見ていただろうに-
「白い奴」からしてみれば、「黒い奴」が何度も答えを目の前にしていることを知っているわけです。それが分からない「大馬鹿君」は、ある意味、可愛くも見えるでしょう。しかし、そうかと言って、そのまま見逃してあげるほど甘くもありません。「大馬鹿君」には、それに相応しい罰が下ることになりますし、欲してしまった以上の代償を支払うことになるわけです。
世界を語るもよし、他者を批判するもよし、天才を気取るもよし・・・しかし、フラスコの中の小人は、所詮、それまでの存在です。それをわきまえることができない以上、きちんとフラスコの中に納まっていなければいけないということでしょう。
しかし、いつの時代も、理想を語るものは、敗者となり、現実を見るものは、勝者となる。今は特に、功利巧拙に秀でた者が、社会的地位に付く時代になった。
この先の世の中が、どうなるかは、術を駆使して、どうなるものでもあるまい。各々が正しいと思うことをし、摂理に反するものは、自然と淘汰されていくのみ。
自然淘汰、良い言葉です。まぁ、そういうことでしょう。
そして、私は理想主義者であり、且つ現実主義者を自負しております。
http://blog.goo.ne.jp/sukune888/e/fe3a40ddf3eb0515ff24ad02b84bd5ea
自分自身、どうなるか非常に楽しみです(笑)。
対極する概念でも、進む道は同じ。激しく対立しても、世界は、西回り、東回りでいつかは出会う。
それを、均衡させる力を持つというならば、何と心強いことか。力とは、努力して、得ることであり、力とは、生まれながらにして、在ることである。
その力で、人の覚醒を、引き出すことが、できれば、今の流れを、あるいは、変える事もできるかもしれぬ。
そして、その「いずれ交わる」とは、人生そのものであり、命絶えるその瞬間のことかもしれません。