満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

ベーシストアローン@雲州堂、終了

2019-08-22 | 新規投稿
8.20ベーシスト・アローン@雲州堂。終了。トップは安田"アローン"支度氏。アコースティックduo‘冬支度’やアコギで弾き語りをメインとする安田氏は今回、エレキベース弾き語りのスタイルとなる。その朴訥でどこ軽やかな曲調のオリジナルソングの味わいもさることながら私はそのベースプレイに正直、感嘆していた。即ちアコギを弾く手の形、そのままでエレベを弾いているのである。しっかりコードを押さえているので、間違った音が出ない、正確なバッキングをしていた。これ、私には無理です。ベーシストでたまにコード弾きをする達者な人を見かけるが、ここにもそれをいとも簡単にやってのけている人がいた。
2番目は水田"アローン"十夢氏。水田氏はコントラバスでバンドや即興のユニットで活動している。しかし、ここでも私が嫉妬してしまうベース演奏を目の当たりにする。弾き語りというスタイルは安田氏と同様だったが、水田氏はアコースティック・ベースを演奏していたのである。これを演奏する人は私の周りにはいない。(難易度の高い楽器だからだろうか)私は一度、楽器店で触って、その弾き辛さに辟易し、すぐギブ・アップした記憶がある。水田氏はこれを難なく弾き、しかも確かな技術を持っている事がすぐわかるようなフレーズを連発していたのである。
森田氏からオファーを受けた今回の企画はベースソロのイベントとばかり思っていたが、安田、水田両氏の即興ではなく弾き語りというスタイルに面喰いながら、両人のベースプレイに感心する次第。
私は3番目に演奏。これまでソロライブは多く経験してきたが、ベースソロは初めてであった。つまり、ソロではサンプラー等を交えてオリジナル曲と即興を交互に演奏するスタイルが常であった。今回は持ち曲をloopを使いながら、バックとメロを演奏し、曲の尻尾を起点として即興する形にした。思い通りに半分はできたかなという感じで、感触を得、次もやろうという気持ちになり、その意味でも、今回のイベントは私にとって有意義であった。
トリは森田"アローン"雅章氏。「9:30で音出し止めなので、10分、やります」と。「えっ。もしかして私の演奏が長すぎました!?」思わず叫んだ私に「いや、そんなことないです。10分で充分なんです」と森田氏。9:30で音出し終わりというお店の決まりを事前に聞かされてなかった私に「それを言うとせわしくなるでしょ」と森田氏。氏のベース演奏は、いかにも森田氏らしい力感に満ちたものであった。エフェクターでメロトロンの音色を交え、縦にバサッと切り刻むようなその音は打音のように響く。このゴツゴツした感触はやはり森田氏の個性であり真骨頂にも思える。10分で終わって「ちょうど良かったです」という森田氏の懐の大きさに感謝しながら、もっと聴きたかったなと思う私であった。
その森田氏から氏のリーダーバンド、トラディッショナル・スピーチのベアーズのライブ(9/5(木))に客演オファーをいただく運びとなる事も併せて実りのあるライブだったが、帰宅して私の演奏時間をチェックするとやはり持ち時間オーバーで森田氏に謝罪メール。やや、後味の悪さも感じながら、初めて伺った雲州堂というお店の雰囲気の素晴らしさを思い出す余韻にも浸る、ちょっと訳の分からない心境の今である。
コメント
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