＜about時弦プロダクションpart.３＞Jigen-004-5 「Defreezed songs」時弦旅団Time Strings Travellers 2011年

before the collapse 97 - 悠歌part II Time Strings Travellers 時弦旅団

＜about時弦プロダクションpart.３＞

Jigen-004-5 「Defreezed songs」時弦旅団Time Strings Travellers　2011年作品（配給 地底レコード）

 

2000年代をほぼ棒に振った私はバンド、時弦旅団を2010年に再開し、新作「Defreezed songs」を二枚組で制作しました。性懲りもなく再び、地底レコードの吉田さんに配給をお願いし、了解を得ます。今回は活動を止めないぞと誓ったかというとそんな記憶はありません。CDリリース即ち活動継続が前提である事を深く自覚するのは、レーベル運営を始める、もっと後になってからの事です。

その意味でこのアルバムは一つのきっかけになりました。それはゲスト・プレイヤー木村文彦氏の参加です。時弦プロダクションが一つのレーベルとしての動きを始めるのは、「Defreezed songs」の録音時、木村氏の演奏をスタジオブースでプレイバックしている時に、その音の響きの良さに感動し、思わず傍らにいた木村氏に「次は木村さんのアルバムを作らないとね」と口走った事がその発端でした。

そしてあくる年の2011年8月、私は木村文彦氏のアルバム制作に取り掛かります。

 

＜about時弦プロダクションpart.２＞ Jigen-003 「Still Songs」時弦旅団Time Strings Travellers 1999年

'our march' 　 Time Strings Travellers　時弦旅団　1999

＜about時弦プロダクションpart.２＞

Jigen-003 「Still Songs」時弦旅団Time Strings Travellers 1999年

「Still Songs」というタイトルの初CDの制作で時弦レーベルから時弦プロダクションと名称を変えました。ここには流通を意識する意図があったと思います。制作の段階で地底レコードでの配給をオーナー吉田さんから許可を得ていました。これによってタワーレコードやディスクユニオン等の店舗、アマゾン等のWEBに自分たちの作品が並ぶことになり、興奮したものです。CDの帯には時弦プロ/CHITEI RECORDSと銘記し、自分にとって初のオフィシャルな作品である事を意識しました。しかし、この時期でもやはりレーベル運営と言う自覚はなく、バンドのみに自分の活動範囲を規定していた私はあわよくば、次回作は地底レコードなどの既存のレーベルからのリリースを目論んでいました。つまり、時弦プロダクションはその時点でいつでも終了予定のつもりでいたのです。

それはともかく、「still songs」を自主制作し地底レコードの配給で流通する運びになった私はそのオーナーである吉田さんに深い感謝を感じながら、その恩に報いることはできませんでした。

アルバムリリースの後のレコ発ライブを神戸ビッグアップルと江古田Buddy（SOH BANDとのカップリングライブをさせていただきました）でやった後、なぜか活動をストップしてしまったんです。メンバーが二人抜けたこともありますが、あまりにもあっけなかったと思います。アルバム完成で一つの目標を終えてしまった気がしたのか、そのあたりの心情ははっきり、思い出せません。ただ、吉田さんに「ライブ続けていかないとCDは売れなくなる」と言われた事を覚えており、この事は様々なアーティストの音源を制作し世に問うている現在の私にとってレーベルを始めてやっと理解できる重要な事でした。私のバンドのような無名なバンドはライブをしないとその活動が分からず、単にCDを作っただけの実態なきバンドと化してしまい、そんなバンドの作品を流通させても、メリットが少ないのですから。当時、私は吉田さんのそんな心情など思い巡らすことはできない未熟者だったと思います。それが恩に報いる事ができなかったという意味です。

私のバンド、時弦旅団はその後、長い活動停止期間に入ります。当然、レーベルの事など頭の片隅にもなくなってしまいました。