満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

<崔善培×香村かをり大阪公演は昨日、大盛況の内に終了しました>

2023-03-20 | 新規投稿
 
崔善培氏の音は美しく優しかった。それが私の第一の感想である。それはフリーキーなトーンを奏でた最初のセット(香村さんとのDUO)で早くも以降の演奏が予見できる程、氏の演奏の基底を形作る要素だったのではないか。香村さんが説明してくれたその経歴から韓国ジャズ第一世代でありながら、フリージャズの第一人者でもある崔善培氏。つまり、氏は在韓米軍から流出する生のジャズ、FENに耳を傾け、聴こえてくるアメリカジャズその全体を包括的に自己の内部に培養し、細分化されぬ同一の地平の中で消化したのだと思う。従って、その演奏はトーンの多様化を生み出し、スタンダードもフリーもノイズも等価のものとして表現する自然体の演奏がそこにあった。崔善培氏はトランペット2種、ハーモニカを演奏。全てが肯定的な響きを持ち、様々な感情や想いを裡に秘める味わい深さ、安定と非―安定を行き来するような繊細さを感じ取る事ができ、演奏をもっと聴いていたい気持ちになる自分がいた。
今回、私は共演陣を6名セットし、崔さん、香村かをりさんを含め、8名による短時間の組み合わせを矢継ぎ早に行うイベントを組んだのですが、どれも内容が濃いセッションができたと思っている。特に香村かをりさんの演奏する韓国の伝統打楽器は普段、あまり見られない貴重なライブセッション体験となりました。今回、演奏に参加してくれた山本公成、荻野やすよし、Darius Heid、石上加寿也、松元隆各氏に重ねて感謝。そして急遽、参加が決まって、トップに素晴らしい演奏を行い、尚、会場に留まって、私達のセッションを楽しみながら観戦してくれたTara Clerkin Trioにも特別の感謝を。
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子供の頃はボーカル聴いて「このバンド駄目」と

2023-03-16 | 新規投稿

子供の頃はボーカル聴いて「このバンド駄目」と即判断する事多かったけど、Tom verlaineもそう。ニューヨークパンクほぼ全滅だった私が改心したきっかけがTelevisionの2nd「adventure」(78)。
「days 」を聴いた瞬間に部屋の空気感が変わり「dream’s dream」に立ちすくんだ。素朴を纏った複雑物語。「これが分からない奴はまだガキ」なんて二十歳頃、言ってたような。リアルタイムの高校時代はスルーしてたのにね。

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Juri Suzue+宮本隆 @ environment 0g 2023/3/12

2023-03-16 | 新規投稿

倉本さんに撮影していただいた先日の演奏。

 

 

Juri Suzue+宮本隆 @ environment 0g 2023/3/12

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ナスノミツル「life」ライブ終了。

2023-03-13 | 新規投稿
ナスノミツル「life」ライブ終了。
◎豊永亮+マツシタカズオ+津田謙司
昨年、初のアルバムをリリースした瑕疵のリーダーであるマツシタカズオ(alto sax,laptop)とそのメンバーでもある屈指のアヴァンギタリスト豊永亮、及びvjを担当する津田謙司によるトリオである。その演奏に脱構築と構築の忙しい作業場に遭遇したかのような感覚を覚える。マツシタ氏の緻密な楽曲はライブという現場で、自由を得て拡散する。I padに収納した鍵盤を全て計算されたセオリーで演奏しながらもナチュラルな歪み、反響が楽曲を変化させ、恐らくはマツシタ氏の当初のイメージからも離れて音が生まれてくるのではないか。長く発信される女性ボイスのナレーションのSEにシンセサイザーとノイズが絡み、豊永亮の超個性的に軋むギターがアクセントを刻む。豊永氏のギターワークは場面によって抑制的になり、的確な射撃のようにピンポイントな音の礫を投じるようだ。いや、と言うより、楽曲の内側で演奏する力量はいわゆる対応ではなく豊永氏にとっての対峙であろう。その意味で彼本来の奔放なギターノイズをマツシタ氏がコンセプトを示しながら交互に反応する内的実験のような作業が反復されているように感じ、結果、流動する生き物のような音楽の生成を観た気がする。vJ津田謙司氏のモノクロームな点滅光の映像が音と融合されたマツシタ氏のコンセプトに沿った表現世界であった事は言うまでもない
◎Juri Suzue + 宮本隆
ここ何年かソロでの圧倒的なライブが徐々に認知されるJuri Suzueですが私は彼女のサウンドとベースとの相性が合うと思い、秘かに共演を望んていました。ただ、初めてのduoに際し私はJuriさんに「ソロみたいにやってね」と注文した。と言うのも普段、ソロで圧倒的なパフォーマンスをみせるJuriさんが、ことセッションや誰かしらとのduoになると、謙虚な性格が出てしまうのか、演奏もやや控えめな印象を与えるものになるのを何度か見てきたからであった。結果、リハーサルでも良い感触が得られ、本番のフルボリューム感とJuriさんのミッドハイに体位するローを担う事が出来たかなと自負した次第。
◍ ナスノミツル+豊田奈千甫
ナスノ氏の作るリフ、メロディのさり気ない雄弁さが光る。僅か1小節に込められる耀くような美。アレンジと作曲の隅々に行き渡る世界観の妥協無きビジョンの音楽。今まで幾度も目撃してきたナスノ氏の一貫したポリシーとも言える"内面の具現化”がここに来て、より顕著になる現場に立ち会った気がする。
ここまでストイックになれるものなのか。少なくとも卓越した演奏技術を持つ者がこのような静的、抑制的なアプローチを行う事実に感銘する。私は演奏後のナスノ氏にはっきりその事を伝えた。
本来、技術と感性は対立するものではなく、相互補完の関係、あるいは相乗の不可分と思えるが、ナスノ氏にあっては、かような意識の区分けさえ最初から無きの如く自然体そのまま音楽に向かっている。恐らくは内面に映る映像のサウンドトラックを奏でるのに何をすれば良いか。彼の演奏アプローチはその一点に絞られているのだろう。
アンコールに応え「Blue」を演奏したナスノミツル。この幾度となく演奏してきた彼のテーマソングとも言えるナンバーを「京都時代に作った曲で未だにあの頃の自分を引きずってます」とMCした彼はここに自らの原点であるダークランド、ニューウェーブの感性の内側に棲む永遠の住人である事を図らずも証したのだった。
最後にナスノミツル+豊田奈千甫、及び、Juri Suzue + 宮本隆で即興的に映写VJを行ったheureuxの反応の素早さ、音への嗅覚アプローチが音楽の現場力とも言える高揚を倍加させるに至った事も付け加えておく
◍ 3.12(sun)◍ ナスノミツル
◍ guest : 豊田奈千甫 (laptop,etc)◍Juri Suzue + 宮本隆◍豊永亮+マツシタカズオ+津田謙司◍VJ:heureux@environment0g
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明日のナスノミツル、ソロアルバム「life」レコ発ライブ

2023-03-11 | 新規投稿
明日のナスノミツル、ソロアルバム「life」レコ発ライブは昼の3時に始まります。
ナスノ氏は豊田奈千甫さんとduo出演になります。豊田さんは以前、ドラムとエレクトロニクスを組み合わせたスタイルを記憶してますが、最近はラップトップをメインに鍵盤等を加えるスタイルに移行してきました。私が観た限り、低音の響きが独特でラップトップ奏者で珍しいほど"うねり”を感じさせます。今回、ナスノ氏が"サポート”として豊田さんを選んだのは、アルタードステイツの縁もあるのでしょうが、ナスノ氏のダークな音世界を1人で完結するのではなく、豊田さんのビート感覚と融合させる実験を試したいのではと推測します。ソロは1人で行うのがナスノ氏のスタイルてあり続けただけに今回の演奏はかなりレアだと言えるでしょう。
対バンは2組、出演します。
1つ目は豊永亮+マツシタカズオ+津田謙司。
マツシタ氏のリーダーグループ、瑕疵のゲストメンバーである豊永、津田両氏とマツシタ氏によるトリオは、恐らくマツシタ氏(サックス、エレクトロニクス)による計算された楽曲をベースに豊永氏の奔放なギターワーク、津田氏のVJが重なり合うものでマツシタ氏のイメージの具現化であろう事が推測されます。
そしてJuri Suzue+私(宮本)の初のduoが、もう1組の対バンです。ずっとソロのみの演奏を続けてきたJuriさんですが、最近、様々な方とのduoが活発です。だから私もという訳ではないのですが、以前から私はJuriさんとの共演を望んでました。それはJuriさんのエレクトロニクス、サンプラーのパーカッシブな即興演奏にベースがマッチすると秘かに感じていたからです。明日はそれを証明する機会でもあり、緊張しております。
最後にVJのheureuxを紹介します。彼女はVJの時にheureux、キーボードを演奏する時バチカと名乗ります。ただ私は彼女が嘗て在籍したバンド、paradiskaの時、本名である上西さんと呼んでまして何年か前に結婚され、私と同じ宮本になってますが今だ、旧姓で呼んでます。それはともかく彼女のVJは緻密で丁寧で、几帳面な性格そのままの完成度があり、とても安定感があります。しかも初めて聴く演奏にもその場でイメージを感じながら映写する即興性も持ち味でしょう。
明日のイベントは多様な場面が予想され、大変、楽しみです。皆さんの御来場をお待ちしております。
3.12(sun)
◍ ナスノミツル
◍ guest : 豊田奈千甫 (laptop,etc)
◍Juri Suzue + 宮本隆
◍豊永亮+マツシタカズオ+津田謙司
◍VJ:heureux
@environment 0g zero-gauge open
14:30 start 15:00 2000yen(+ drink order)
environment 0g zero-gauge大阪市西区南堀江3-6-1 西大阪ビルB1
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