満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

Lee Perry 『sound system scratch Lee Perry’s dub plate mixes 1973 to 1979』

2011-02-28 | 新規投稿

<アメリカに亡命した天安門民主化運動のリーダーは「あの時、ネットがあれば」と回想している。ネットが武器になるとしたら、それは抑圧的な政治体制を採る一部の国の国民だろう。国民のネットやメールを監視してそれを削除したり書き換える為の職員を何万人と擁す国家がある。ご苦労な事だ。グーグルさえも軍門に下らせたこの国。間違いなくネットによる民主革命とリアルな暴動がリンクした形が表れてくるだろう。>

なーんてこのブログに書いたのは4年くらい前だったが(『ウェブ進化論』という本の評でした)、ネットを媒体に拡大した今回のチュニジアから始まった民主化運動が中東、アフリカから遂に中国へ波及する事態は遅かれ早かれ、やってくるんだろう。そして人民解放軍はまたしても、自国民を殺戮するのかな。一方、ネット普及による個人のバーチュアルリアルの病状が進行し過ぎた我が国では、その反動とも言える友達作りや恋人作りを充実させて現実を充実させようという指向性が‘リア充’なる言葉と共に表出されているらしい。なんて平和で有難い国なんだろう。ただし、この贅沢な平和ボケを私達や子供達が末々まで享受させていただく為にも、日本にもある種、‘運動’が必要になってきたような気もする。‘平和にボケる’という我が国民のメンタリティーは国家が堅固で健全に機能してあればこそ可能で、その根本が脅かされては、成り立たない。今の民主党政権というのは、かつて全共闘や市民運動や労働運動や日教組運動や反米容共運動等々で国家と戦ってきた人達が作った政府であり、こいつらは未だに国家と戦い続けている。国家を担う人間が国家と戦ってるのだから、もはや、国家がずたずたになった観があり、子供手当てなんていう未来の日本を破産させる陰謀や日米同盟という‘国の戸締り’を緩めた途端に、中露によって玄関と裏庭を土足で踏みにじられるという絵にかいたように招いた失態は、それぞれが私達、日本人の<平和ボケ>という特権を脅かす危機的状況に他ならない。自衛隊を‘暴力装置’という古語で表現したトロツキー主義者が政府官房長官に収まっていたという悪夢のような事態はとりあえず、去ったようだが、全く侮れないのが今の民主党政権による国家運営という非常事態である。私は守りたい。死守したい。国家を。そして私達の平和を。いや、平和ボケを。私達に運動は可能なのか。いや、運動などできるのか。

私達の日常は忙しい。おそらく日本人一般の仕事や日常に対する‘生真面目さ’というのは政治的無関心と表裏一体の性格なのであり、その日常のペースを破棄してまで行い得る‘運動’などというのはよほどの事態が出来しない限り、不可能なのであろう。同じく私も私の事に忙し過ぎる。仕事はヘヴィーであり、バンド活動もある。家庭もある。子育てもある。本も読まなくちゃいけないし、音楽は聴き続けなければならない。私は時間がいくらあっても足らないという状況で生きており、とても速い速度で時間が進行している。この満たされた速い時間の中で、外の状況に目を向けろというのが無理な話で、それはとてもリーペリーの相変わらず、ボンボン放たれる新作を追う暇などあるわけがないという側面にもつながるのだ。ということで無理矢理展開した話しの流れで、このアルバム『sound system scratch Lee Perry’s dub plate mixes 1973 to 1979』であるが、ギャンブル性の強いリーペリーのアルバム群の中でこれは買って正解という傑作でした。ペリーによるオリジナルダブの魔力が凝縮され、その鋭いまでに現在的感覚はレゲエの身体性とダブの音響聴覚性が従来、別の音楽である事を再認識させるに足る内容と言える。しかもペリーはそれを合体する指向性により、ダブの辺境性を将来のメインストリームに据える事を導いた。こうゆうダブを聴いてると私の好みは結局、ジャマイカの土の匂いがそれが微量でも存在するか否かで決定されていると確信する。ダブステップの大部分は日常、聴かないが、basic channel系のrhythm&soundなどのエレクトロダブは最高に好きである。それはそのアーシー加減によるものだったのだろう。
『sound system scratch Lee Perry’s dub plate mixes 1973 to 1979』はリーペリーによるダブプレート集。究極の名作『blackboard jungle dub』(79)がCD化されたのを知って、ショップを覗いて見つけたこの作品。『blackboard jungle dub』の方は特にボーナストラックもなしという事で買わず、こちらを購入。1曲目「dread dub plate」からいきなり、ビッシバッシとダブ音響が飛び散るように全開するメタリックサウンドで衝撃的です。
4月にはビルラズウェルのプロデュースによる新作が控えているという情報。忙しすぎる私にはもはや、追いつけないのは必至。

2011.2.28
  
コメント
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