三ツ谷洋子のスポーツ21・ブログ

Jリーグ開幕前から理事として17年間かかわったスポーツビジネスコンサルタントの三ッ谷洋子が日々の話題を取り上げます。

デリダに学ぶ

2010年03月24日 | 2010年
昨年4月に初めて大学の教壇に立ち
授業は「先生と呼ばないで下さい」という
自己紹介でスタートしました。

1年をどうにか終えて痛感したのは
大学教育は昔とは全く様変わりしていることです。

産業界からの要望なのか
即戦力となるような人材を育てる場という色彩が
濃くなっています。

「専門学校と大学はどこが違うんですか」
こう質問してきた学生がいます。
「スポーツ関連の資格を取るのだったら、
大学に入らなくても専門学校で十分だと思います」

そう、その通り。
「ただ、大学だからこそ学べるものがある」と説明したものの
今の大学教育はそれを力説できない状況のように見えます。

学生が先生を評価する「通信簿」があります。
さらに、先生自身の自己評価というのもあり
目標値を設定して、どこまでクリアしたかを
自分で評価します。

米国ではすでに10年前に、
このような評価システムは意味がないので廃止したと、
どこかで読んだ記憶があります。

米国の後を追いかけるのが好きな日本人は、
失敗したことも全てやらないと気が済まないようです。

2ヵ月ほど前、
「大学とは何か」をテーマとした講演会に
出かけてみました。

フランスの哲学者ジャック・デリダが創設した
「国際哲学コレージュ」という教育機関を紹介する
ドキュメンタリー映画の上映会がメインでした。

「大学とは何なのか、
哲学、人文学のあり方はどうあるべきなのか」
デリダの考え方を継いだ人たちに
東大専任講師の西山雄二さんが
インタビューした映画です。

少しずつ大学教育の現場を知るようになると
日本の教育はこの流れでいいのか、という疑問が湧いてきます。

その意味で、「一緒に考える場」を大事にした
デリダの姿勢に刺激を受けました。
先生2年生の新学期が、もうじき始まります。

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 三ッ谷 洋子
 株式会社スポーツ21エンタープライズ代表取締役
 法政大学スポーツ健康学部教授
 スポーツビジネスコンサルタント
 スポーツビジネスプロデューサー
 地域づくりアドバイザー
 WSFジャパン(女性スポーツ財団日本支部)代表
コメント
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