前回のコラムから半年近くがたってしまいました。
定期的に読んでくださっていた方にはお詫びします。
このブログは12月に、私が代表を務めるスポーツ21エンタープライズの
ホームページ の「コラム」欄から引っ越してきました。
ホームページの内容の再点検と修正・充実の作業にかなりの時間がかかり、
コラムも休眠状態でした。
これからは、皆さんのご意見やご感想もこのブログを通してうかがうことが出来ますので、
お気軽にコメントをお寄せください。さて、ブログ初のコラムです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
Jクラブ 黒字経営の極意
「ウチはそんなに早くJ1に上がらなくたっていいんですよ」
いつもそんなことをいっていたJクラブの社長がいました。
「クラブが赤字なんて、信じられないよね。入ってくる金と出て行く金を計算すれば、
どうすればいいかなんて、小学生でもわかりますよ」。
赤字であえぐクラブの話題になると、「こんなに簡単なことがわからないのかね~」と、
会議の後でよく私に話しかけてきます。
ヴァンフォーレ社長の海野一幸さんです。
山梨日日新聞の政治記者時代は、金丸信の番記者という
花形の新聞記者の経験を持っています。
私も新聞記者出身ということもあり、また共通の友人がいるという気安さもあって、
そんな本音をよく語ってくれます。
その海野社長率いるヴァンフォーレが、10日の入れ替え戦2戦目で
ついにJ1昇格を決めました。
柏レイソルを相手に、アウエーでも堂々と戦って、6-2で圧勝。
「J1なんて、まだまだ」といっていた海野一幸社長の嬉しそうな表情が
目に浮かびます。
私の会社では、スポーツビジネスの様々なテーマを研究する企業対象セミナー、
「マーケティング研究会」を定期的に開催しています。
9月の例会で講師にお招きしたのが、海野社長でした。
私はJリーグの理事をしているので、理事会の監事である海野社長とは毎月1回、
顔を合わせています。
赤字だったクラブをどのように再建したのか。
そんな経営の舞台裏について講演をお願いしたところ、
快諾していただきました。
お話の中で最も印象に残ったのは、サポーターにまつわるエピソードです。
ヴァンフォーレはJ2入りしたものの、最下位の成績が続き、観客動員数も最低で低迷。
4年間の赤字は6億2千万円にもなりました。
そんなクラブを整理するために送り込まれたのが海野社長でした。
しかし、その社長はクラブの整理ではなく、再建に舵を切り直したのです。
そのきっかけは、サポーターが集めた3万人の署名でした。
「ヴァンフォーレがつぶれたら、甲府にプロは二度とできない」。
その重みを胸に倒産を回避すべく、知恵を絞り経費を抑え、
企業には「その会社ができることをしてもらう」という考え方で支援を取り付けました。
地元の小さな商店に150万円で看板を出してもらうのは難しい。
その代わり、クリーニング屋さんにはユニフォームの洗濯、美容院にはヘアカット、
ホテルには風呂の利用と、それぞれのサービスを無料提供してもらうのです。
金銭的な出費が伴わないのであれば、企業も協力しやすくなります。
こんな温かい地域のバックアップを、株主である山梨日日新聞が紙面で伝えます。
協力企業はパブリシティを通じて企業イメージを上げ、
メリットを得ることができるというわけです。
「ウチは身の丈経営。チームも一歩ずつ着実に強くなってくれればいいんですよ」。
大企業のない地方都市の小さなクラブが、着実な経営とチーム作りで
巨大企業が支援するクラブが割拠するJ1の仲間入り。
強豪ぞろいの大海にに漕ぎ出した小さな船の舵取りは、容易ではないと思われます。
「でも、この仕事は本当にやり甲斐があるんですよ。
手応えが直接、感じられる仕事なんてそうそうないですからね。
今は誰にもこの仕事を渡したくないですね」と海野社長。
赤字にあえぐJのクラブやJを目指す各地のアマチュアチームにとって、
ヴァンフォーレの経営は今や新たなJリーグのビジネスモデルとして注目され、
高く評価されています。
株式会社スポーツ21エンタープライズ 代表取締役 三ッ谷洋子
スポーツビジネスコンサルタント
スポーツプロデューサー
http://www.sports-21.com mitsuya@sports-21.com
Copyright © 2006 Sports 21 Enterprise, All Rights Reserved.
定期的に読んでくださっていた方にはお詫びします。
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ホームページ の「コラム」欄から引っ越してきました。
ホームページの内容の再点検と修正・充実の作業にかなりの時間がかかり、
コラムも休眠状態でした。
これからは、皆さんのご意見やご感想もこのブログを通してうかがうことが出来ますので、
お気軽にコメントをお寄せください。さて、ブログ初のコラムです。
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Jクラブ 黒字経営の極意
「ウチはそんなに早くJ1に上がらなくたっていいんですよ」
いつもそんなことをいっていたJクラブの社長がいました。
「クラブが赤字なんて、信じられないよね。入ってくる金と出て行く金を計算すれば、
どうすればいいかなんて、小学生でもわかりますよ」。
赤字であえぐクラブの話題になると、「こんなに簡単なことがわからないのかね~」と、
会議の後でよく私に話しかけてきます。
ヴァンフォーレ社長の海野一幸さんです。
山梨日日新聞の政治記者時代は、金丸信の番記者という
花形の新聞記者の経験を持っています。
私も新聞記者出身ということもあり、また共通の友人がいるという気安さもあって、
そんな本音をよく語ってくれます。
その海野社長率いるヴァンフォーレが、10日の入れ替え戦2戦目で
ついにJ1昇格を決めました。
柏レイソルを相手に、アウエーでも堂々と戦って、6-2で圧勝。
「J1なんて、まだまだ」といっていた海野一幸社長の嬉しそうな表情が
目に浮かびます。
私の会社では、スポーツビジネスの様々なテーマを研究する企業対象セミナー、
「マーケティング研究会」を定期的に開催しています。
9月の例会で講師にお招きしたのが、海野社長でした。
私はJリーグの理事をしているので、理事会の監事である海野社長とは毎月1回、
顔を合わせています。
赤字だったクラブをどのように再建したのか。
そんな経営の舞台裏について講演をお願いしたところ、
快諾していただきました。
お話の中で最も印象に残ったのは、サポーターにまつわるエピソードです。
ヴァンフォーレはJ2入りしたものの、最下位の成績が続き、観客動員数も最低で低迷。
4年間の赤字は6億2千万円にもなりました。
そんなクラブを整理するために送り込まれたのが海野社長でした。
しかし、その社長はクラブの整理ではなく、再建に舵を切り直したのです。
そのきっかけは、サポーターが集めた3万人の署名でした。
「ヴァンフォーレがつぶれたら、甲府にプロは二度とできない」。
その重みを胸に倒産を回避すべく、知恵を絞り経費を抑え、
企業には「その会社ができることをしてもらう」という考え方で支援を取り付けました。
地元の小さな商店に150万円で看板を出してもらうのは難しい。
その代わり、クリーニング屋さんにはユニフォームの洗濯、美容院にはヘアカット、
ホテルには風呂の利用と、それぞれのサービスを無料提供してもらうのです。
金銭的な出費が伴わないのであれば、企業も協力しやすくなります。
こんな温かい地域のバックアップを、株主である山梨日日新聞が紙面で伝えます。
協力企業はパブリシティを通じて企業イメージを上げ、
メリットを得ることができるというわけです。
「ウチは身の丈経営。チームも一歩ずつ着実に強くなってくれればいいんですよ」。
大企業のない地方都市の小さなクラブが、着実な経営とチーム作りで
巨大企業が支援するクラブが割拠するJ1の仲間入り。
強豪ぞろいの大海にに漕ぎ出した小さな船の舵取りは、容易ではないと思われます。
「でも、この仕事は本当にやり甲斐があるんですよ。
手応えが直接、感じられる仕事なんてそうそうないですからね。
今は誰にもこの仕事を渡したくないですね」と海野社長。
赤字にあえぐJのクラブやJを目指す各地のアマチュアチームにとって、
ヴァンフォーレの経営は今や新たなJリーグのビジネスモデルとして注目され、
高く評価されています。
株式会社スポーツ21エンタープライズ 代表取締役 三ッ谷洋子
スポーツビジネスコンサルタント
スポーツプロデューサー
http://www.sports-21.com mitsuya@sports-21.com
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