三ツ谷洋子のスポーツ21・ブログ

Jリーグ開幕前から理事として17年間かかわったスポーツビジネスコンサルタントの三ッ谷洋子が日々の話題を取り上げます。

新聞の誤報問題

2014年09月19日 | 2014年
最近は「新聞を読まない人」が多いですね。
若い世代だけかと思ったら、かなり上の年代の人も
「ネットで見られるので、引っ越しついでに配達を中止した」という話も耳にします。
電車の中で新聞を広げる人も見かけなくなりました。

私は貴重な情報源として多くの新聞を読んでいるのですが、
いま新聞論争が起こっているのをご存知でしょうか。
そう、朝日新聞問題です。

8月上旬には、これまで真実だと言い張ってきた「従軍慰安婦」問題は間違っていたと訂正しました。
そもそも「従軍慰安婦」という言葉もないのに、32年間も使ってきて「何を今さら」と思います。
私も読みましたが、どこを探しても謝罪の言葉を見つけることはできませんでした。

さらにお詫びが続いたことに驚きました。
今月11日の木村伊量社長の記者会見です。
政府が福島第一原発の吉田昌郎所長へのヒアリング内容を公表することになり、
慌てて(?)「我が社のスクープは間違いだった」と頭を下げたのです。
吉田所長は、原発からの作業員撤退などとは一度も言っていなかったそうです。

「二の句が継げな」いとは、まさにこのことです。
こんな経緯を私のスタッフに話すと
「朝日は何を目的にそんな記事を書くんでしょうね」との感想です。

以前から、他の新聞に比べて朝日はあまりにも頻繁に訂正記事を出すと思っていたのですが
このような重大問題について「間違えました」の一言で済む訳はありません。
朝日の多くの記事が「日本の正しい報道」として海外に発信されてきたのです。
これによる日本への評価の低下は免れません。

こうした間違いをずっと報道し異議を唱えていた産経新聞が
私の古巣でよかったと、つくづく思います。

私が大学を卒業して産経の記者になった40年ほど前は、
「朝日を読んでいる」というのが“進歩的知識人”の常識でした。
私の実家がとっていた新聞のひとつでもあり、子どものころから読んでいました。

当時「朝日に書いてあった」というと多くの人は信用し、
「朝毎読(ちょうまいよみ)」という呼び方もありました。
朝日に比べて記者の数も給料も少ない産経としては
「少数精鋭」などと半分は自嘲気味に「朝日に追いつけ追い越せ」と頑張ったものです。

松平夫人(バレーボールの松平康隆監督の奥さん)にお会いすると
いつもこういわれます。
「三ッ谷さんは新聞を複数よむようにって、いってたわよね」。
私はマスコミの内部を知るようになって、
「新聞記事は物事の一面しか書けない」と実感していたからです。

朝日は8月に自社の誤報を認めたあとも、
同紙を糾弾する週刊誌の広告や池上彰さんの連載コラムの掲載を拒否したり
(その後、撤回)して右往左往の連続です。

すると昨日、朝刊の最初のページに近い3面に
「朝日新聞に読者のみなさまから Voice特集版 声」というタイトルで、
8本もの「声」が一気に掲載されました。
それまではほとんど紹介されなかったテーマです。

「声」の中には新聞購読を止める人の意見もあり、
これまで紹介された申し訳ていどの投書より幅の広さを感じさせました。

朝日は誤報を認めた後、「お詫び」関連の記事を載せていますが、
私から言わせると分かりにくく目立たないように見えます。
誤報については、外部の有識者による第三者委員会を立ち上げるそうですが、
まだ結果が出ていなくても、新聞社が一丸となってお詫びすべき問題だと思います。

例えば1面の左肩など目立つところに毎日、記事を掲載する方法もあるのではないでしょうか。
「これからは正しい報道をします」と宣言しているものの
「どれが本当に正しい記事なのか」が全く分からなくなりました。

今回の騒動で朝日から産経に変えた読者も多いと聞いています。
私もやめてしまいたいのですが、どんな記事になっていくのか、
その流れも見るべきではないかと思い読み続けています。

===========================
       三ッ谷 洋子
 株式会社スポーツ21エンタープライズ代表取締役
 法政大学スポーツ健康学部教授
 スポーツビジネスコンサルタント
 スポーツビジネスプロデューサー
「スポーツとまちづくり」アドバイザー
 WSFジャパン(女性スポーツ財団日本支部)代表
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする