三ツ谷洋子のスポーツ21・ブログ

Jリーグ開幕前から理事として17年間かかわったスポーツビジネスコンサルタントの三ッ谷洋子が日々の話題を取り上げます。

インビクタス

2010年03月15日 | 2010年
クリント・イーストウッド監督の最新作です。
どの新聞でも大きくとりあげて絶賛しています。
「素晴らしい映画だから、是非、見てみたら」と勧めてくれる人もいたので
この週末に見てきました。

「インビクタス」とはラテン語で「征服されていない」の意味で
日本語で「負けざる者」というタイトルがついています。

舞台は南アフリカ。
黒人初の大統領、ネルソン・マンデラが
1995年に自国で開催される
ラグビーのワールドカップに向け、
南ア代表チームを応援しようと国民に呼びかけます。

裕福な白人選手たちが練習するラグビー場の反対側で、
ボロボロの服に裸足の黒人少年達がサッカーに興じています。
上流階級=白人=ラグビー
下層階級=黒人=サッカー
南アの国民はこんなふうに色分けされます。

マンデラは代表チームを後押しする代わりに、
彼らに黒人の住む地域に出かけていって
子ども達にラグビーを指導するよう依頼します。

大会を前にそんな時間はない、
黒人の子どもに指導なんか―。
選手たちは反発しますが、大統領の意向に反対はできず
あちこちの黒人居住区を訪れてラグビーを指導し
子ども達に大歓迎されます。

大会が始まり、南アはベスト8止まりと予想されていました。
ところが次々に強豪を打ち破り、
決勝の相手は優勝候補のニュージーランド。

息詰まる両チームの攻防が、
最後の20分(私の実感)ほど続きます。
ラグビーというスポーツの迫力や醍醐味を
存分に映像で見せてくれます。

延長戦にもつれこむ手に汗握る試合。
南アの国民は白人も黒人も一緒になって声援を送ります。
劇的な盛り上がりの中で南ア選手が蹴った
楕円のボールがゴールして優勝が決まります。

スタジアムのあちこちで振られる新しい国旗。
黒人も白人も誇らしげに歌う新しい国歌。

「たかがスポーツ」のパワーに圧倒されます。
1995年の南アのワールドカップで
実際にこんなシーンが繰り広げられていたことを
この映画で初めて知りました。

マンデラ大統領は、スポーツが人々の心を奮い立たせ、
人々の心を結びつける力があることを、よく知っていました。

国を一つにまとめるために、
スポーツを利用したともいえます。

為政者が崇高な理想を掲げていたことが、
南アの人々にとって幸いでした。
心を揺さぶられる映画です。

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 三ッ谷 洋子
 株式会社スポーツ21エンタープライズ代表取締役
 法政大学スポーツ健康学部教授
 スポーツビジネスコンサルタント
 スポーツビジネスプロデューサー
 地域づくりアドバイザー
 WSFジャパン(女性スポーツ財団日本支部)代表
コメント
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