三ツ谷洋子のスポーツ21・ブログ

Jリーグ開幕前から理事として17年間かかわったスポーツビジネスコンサルタントの三ッ谷洋子が日々の話題を取り上げます。

大切なのは「精神力」でなく「体力」

2014年08月15日 | 2014年
このブログ執筆は回数が少なくなっているのですが、いつもお読みいただきありがとうございます。

暑さがピークのようですが、マスコミは高校野球花盛りですね。
私が注目しているスポーツのひとつであるサッカーはブラジルでのワールドカップが終り、
日本代表のアギーレ新監督が注目されています。

私はいつも「スポーツは勝ったり負けたりする経験を経て強くなっていく」として片付けていますが、
ここでもう一度、ブラジルでのワールドカップ日本代表について少し詳しく考えてみることにしました。

日本代表が決勝トーナメントに進出できなかった理由について、技術の不味さ(あるいは実力を発揮できなかった)や
環境を指摘する人が多いようですが、私は「体力のなさ」が一番の敗因だと思います。

私は過去40年ほど、世界のトップチームや選手の強化システムについて、
欧米で現場を見たり指導者の話を聞いてきました。
その結論は「体力」の大切さです。

「外国選手は練習なんかしていないよ」という話は様々なトップ選手から何度も聞きました。
それでは日本人も、何もやらなくてよいのでしょうか。

日本人と外国人(大まかに白人や黒人など)とは、肉体も精神も違います。
ある日本のスポーツ指導者は「日本人と外国人の間の子どもが増えたらな~」などと、
冗談とも本気とも取れる意見を述べる人もいました。

日本人が得意なスポーツもありますが、人種の特質から見るとこれが正論なのだと思います。
事実、このような選手が少しずつ増えてきているようです。

ここで新聞のコラムを一つ紹介します。
ワールドカップ期間中だったと思いますが、
ロンドン五輪レスリング・フリースタイル66キロ級で24年ぶりに金メダリストとなった
米満達弘選手(自衛隊)が筆者でした。

彼は「長友選手レベルの体力を日本代表の全員が身に付けなければ世界一にはなれない」と指摘していました。
「世界のトップを経験した選手は、やはり体力の大切さがわかるのだな~」と
妙に納得して読んだコラムでした。

スポーツでの体力の必要性について考える時、いつも思い出すのが水泳です。
1970年~1990年代初めまで、女子の水泳はローティーンの世界でした。
社会主義国は禁止薬物のドーピング検査をくぐり抜け、
東ドイツのコーネリア・エンダーなどが世界の頂点に君臨していました。

1992年のバルセロナ五輪平泳ぎ200mで14歳の岩崎恭子選手が優勝し
「今までで一番うれしい」とコメントして大人たちを驚かせました。
当時、ハイティーン選手はすでにオバサン扱いで、選手としては盛りが過ぎたと考えられていました。

ところが今はどうでしょうか?
世界トップの日本選手にはローティーンがいません。
以下は2年前のロンドン五輪競泳で3位までの成績を残した女子選手とその年齢です。

  背泳ぎ100m 3位 寺川 綾(27歳)
  平泳ぎ100m 3位 鈴木聡美(21歳)
  平泳ぎ200m 2位  同上
  バタフライ200m 3位 星奈津美(21歳)  
  400mメドレーリレー 3位 寺川、鈴木、加藤ゆか(25歳)、上田春佳(24歳)

 
皆、20歳以上ですね。
写真で確認していただきたいのですが、ここで強調したいのが彼女たちの体格です。
トレーニングで鍛えた立派な体格が目を引きます。

このように水泳女子のトップ選手の年齢を引き上げたのは、鹿児島の国立鹿屋体育大学です。
インターネットのサイトを見ると1984年設立ですから、ロサンゼルス五輪の年です。

スポーツに優れている学生たちはここのトレーニング施設で筋力を付けたり
体づくりをして世界記録を出すようになったのです。

1972年のミュンヘン五輪平泳ぎ100mで優勝した田口信教さんは
長くこの大学の教授の1人として若者を育てています。

と、まあこんな具合で、私も「体力第一主義」です。
私も大学生の頃、テニス選手として頑張りました。
「あのボールが取れなかったのは、根性不足だった」と反省したこともありますが、
その後、体力や筋力の大切さを知るに至り、今はこう思います。

「ボールが取れなかったのは、根性不足のせいでなく筋力不足のせい。
あの時、ボールを追う練習の時間を減らして、トレーニングをすればよかった…」

日本ではいまだに「根性が大事」などとして精神面のみ注目しがちですが、
スポーツでは体力や筋力がポイントなのです。
これがスポーツにおける私の反省です。

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       三ッ谷 洋子
 株式会社スポーツ21エンタープライズ代表取締役
 法政大学スポーツ健康学部教授
 スポーツビジネスコンサルタント
 スポーツビジネスプロデューサー
「スポーツとまちづくり」アドバイザー
 WSFジャパン(女性スポーツ財団日本支部)代表

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