三ツ谷洋子のスポーツ21・ブログ

Jリーグ開幕前から理事として17年間かかわったスポーツビジネスコンサルタントの三ッ谷洋子が日々の話題を取り上げます。

「争うは本意ならねど」

2011年12月26日 | 2011年
本のタイトルです。
サブタイトルにこうあります。
「ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と
彼を支えた人々の美(ちゅ)らゴール」

先日、木村元彦さん(「オシムの言葉」の著者)から送られてきました。
私の名前も出てきます。

私は当時、Jリーグの理事として
Jリーグの対応に納得がいかず反対意見を述べたのですが、
理事会では私に賛同する意見はなく孤立状態でした。

その頃、我那覇選手が所属したフロンターレや各クラブのドクター、
サポーター、彼の出身地である沖縄の人々などが
我那覇選手を支えるために様々な活動をしたことを知り、
心強く思いました。

様々なやりとりの中で、両組織や当該委員会関係者の回答に
何度か「耳を疑う」シーンが紹介されていますが、
読みながら私は「目を疑い」、言葉もありませんでした。

読了後に痛感したのは、日本サッカー協会とJリーグの
最高責任者の判断ミスと対応のまずさです。

私は、その後の理事選任の際に理事の任を解かれ
“在任最長不倒”の16年7か月が終わりました。

スポーツ新聞の「誤報」から始まった些細な事が
FIFA(国際サッカー連盟)、WADA(世界ドーピング機構)、
CAS(スポーツ裁定裁判所)までを巻き込む大騒動になった顛末について
ご関心のある方は、是非、本書を手に取ってみてください。

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 三ッ谷 洋子
 株式会社スポーツ21エンタープライズ代表取締役
 法政大学スポーツ健康学部教授
 スポーツビジネスコンサルタント
 スポーツビジネスプロデューサー
「スポーツとまちづくり」アドバイザー
 WSFジャパン(女性スポーツ財団日本支部)代表
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色あせる「おいでませ!山口」

2011年12月09日 | 2011年
大学の講義で、時々、外部のゲスト講師をお招きしています。
山崎泰広さんの講義では
「今まで大学で受けた授業の中で、
もっとも心に響くものだった」というコメントが
少なくありません。

山崎さんは米国留学していた高校時代に
寄宿舎の3階から転落して脊髄を損傷し、
以来、車椅子生活を余儀なくされています。

小さい頃から「スポーツ大好き少年」で、
車椅子生活になってからも積極的にスポーツを楽しみ、
バルセロナパラリンピックでは水泳で6位入賞しました。

現在も記録を保持する現役選手で、
「できればロンドンオリンピックに出たい」と
笑顔で話されています。

山崎さんの素晴らしいところは、
「障害者」は「納税者」になるべきだ、と
社会的な自立を目標にされているところです。
ご自身も障害者用機器の輸入販売会社を経営されています。

後期も講義をしていただきましたが、
紹介されたエピソードの1つは、
日本社会の障害者に対する理解の低さを
痛感させられるものでした。

山口国体の後に行われた「障害者スポーツ大会」で
京都代表となった車椅子の女性選手が
宿泊予定のホテルに電話で
バリアフリー設備について問い合わせたところ
こんな答えが返ってきたそうです。

「ウチはバリアフリーではありません。
移動の際には、県の選手団が手伝われるのではないですか」

日本のホテルでは、洗面所の床の部分の仕切りがあり
またいで入る構造になっています。
車椅子で入るのは不可能で、
誰かに担いでもらわなければなりません。

しかし、トイレを使うたびに、バスに入るたびに
他人の手を借りなければならないのでは
誰だって宿泊する気にはなれません。

その女性は大会出場を辞退することにして
県協会連絡したところ、
バリアフリーの宿泊施設があるセミナーハウスを探してくれ、
予定どおり大会に出場できたそうです。
(この施設はバリアフリーの部屋が2つだけ。)

山崎さんによれば
「山口県にバリアフリーのホテルは1軒もない」とか。
我が耳を疑いました。

バリアフリーでないホテルでは
這ってトイレやバスに行かなければなりません。

1992年にパラリンピックを開催したバルセロナは
大会開催のために町をバリアフリー化して
「バリアフリーのまち」を実現しました。

1988年に冬季パラリンピックを開催した長野は
大会開催中だけ仮設のバリアフリー設備で対応し
大会後は元の「バリアフルなまち」に戻しました。

国体はオリンピックを真似て
国体に続けて障害者スポーツ大会を同じ県で開催しています。
しかし、大会のホストたる県が
未だにバリアフリーの正しい意識も持っていないとは
情けない限りです。

松葉杖生活を送っていた
昨年の不便な生活を思い出しました。

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 三ッ谷 洋子
 株式会社スポーツ21エンタープライズ代表取締役
 法政大学スポーツ健康学部教授
 スポーツビジネスコンサルタント
 スポーツビジネスプロデューサー
「スポーツとまちづくり」アドバイザー
 WSFジャパン(女性スポーツ財団日本支部)代表
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