三ツ谷洋子のスポーツ21・ブログ

Jリーグ開幕前から理事として17年間かかわったスポーツビジネスコンサルタントの三ッ谷洋子が日々の話題を取り上げます。

ふくしま浜街道・桜プロジェクト

2013年03月07日 | 2013年
3月3日、福島県浜通りで桜の植樹をしてきました。
大震災と原発事故で分断されている160キロの道路に
2万本の桜を植えようという何とも壮大な計画の一環です。

「ふくしま浜街道・桜プロジェクト」と銘打ったこの計画は
NPO法人ハッピーロードネット理事長の西本由美子さんが
実行委員長として進めています。

お正月あけにJヴィレッジを案内してくれた際、
「三ッ谷先生、是非きてくださいね」と声をかけられました。
西本さんのご自宅は、避難勧告が解除された広野町にあるのですが、
「町民5千人のうち、10分の1の500人しか戻ってきていない」そうです。

「戻ってきていない家が多いので、夜は真っ暗。
このままでは復興もおぼつかないのでいろいろ考えました。
そして、子どもたちが自慢できるまちにしようと
日本一の桜並木を作ることにしたんです」と説明してくれました。

前夜に、いわき市内で交流会が行われました。
当日は大型バスが用意され、30分ほどかけて
楢葉町下小塙の「記念植樹祭」会場に到着しました。

大きなテントの中に並べられた椅子の最前列には
福島県出身の国会議員など来賓に交じって
地元の小中学生が座っていました。

除染されて放射能の心配はない場所なのですが、
子どもたちの出席をためらう親御さんも少なくなかったと聞きます。

来賓のスピーチはいずれも心のこもったものでしたが、
最も私の印象に残ったのは、子どもたちに語りかけながら挨拶をした
西本さんの言葉でした。

「出席したみんなは、学校に戻ったらお友達に今日のことを話して欲しい。
そして30年後、結婚して子どもが出来ていたら、
家族みんなで一緒にお花見をして楽しんで。
それまで、みんな頑張ってください。
オバサンも頑張るから」

「オバサン」こと西本さんは、
常磐道を応援する女性の会代表として様々な活動をされ、
その後も地元の高校生と道路のゴミ拾いをしたり、
地域活性化をテーマにシンポジウムを開催するなど
子どもたちを巻き込んで様々な取り組みをされてきました。

今回のプロジェクト実施に当たっては、
立ち入り禁止区域を含む沿岸部の道路を管理する
国、県、市町村の全てと直談判して
160キロの使用許可を取り付けたそうです。

西本さんのそんな頑張りがあったからこそ
実現への第一歩が踏み出されたのです。
子どもたちに語りかけた「頑張って」は、
そのまま西本さんご自身の覚悟のように聞こえました。

当日は道路脇の斜面に
150人ほどが100本の枝垂れ桜を植えました。
急な斜面をよじ登って私が植えたのは3本です。

毎年、桜の季節にウオーキングを楽しんでいる仲間と一緒に
いつかこの桜並木を愛でたいと思っています。

===========================
 三ッ谷 洋子
 株式会社スポーツ21エンタープライズ代表取締役
 法政大学スポーツ健康学部教授
 スポーツビジネスコンサルタント
 スポーツビジネスプロデューサー
「スポーツとまちづくり」アドバイザー
 WSFジャパン(女性スポーツ財団日本支部)代表
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする