夕刊/金田ヒサ

THE RAMBLINGSのフロントマンが贈る漂流記

お山の大将

2007-09-03 | 戯言集
昔々あるところに小さな村のお山の大将がおりました。
まわりからはちやほやと持ち上げられいい気になっていました。
ある日隣村から本物の大将が引っ越してきました。
しかし村人もお山の大将しか見たことがないので
本物の大将の凄さがわかりません。
その中で唯一本物の大将の凄さに気がついたのがお山の大将でした。
しかしお山の大将はわかってはいても
なかなか本物の大将を認める事が出来ません。
そんなある日村人達はどちらが本物の大将か
決着をつけようと言いだしました。
困ったお山の大将は本物の大将に相談しました。
「オラはこの村の大将でいてぇんだ。
なんとか上手く取り計らってくんねーべか?」
本物の大将は黙ってうなづくと翌朝誰にも
気付かれないように村を出て行きました。
村人は「とうとう偽物が逃げだしたぞ~。
お山の大将が逃げだしたぞ~。」と大喜びしました。
自分達の目が正しかったのだと
村をあげてのお祭り騒ぎが続きました。
お山の大将は本物の大将が越えてきた大きな山々を
見上げながら深いため息をつきました。
以来この村に本物の大将があらわれる事は二度となかったそうな。
コメント (2)
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