思惟石

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中勘助『銀の匙』

2020-07-27 15:01:54 | 日記
中勘助の自伝的小説。

生まれつき虚弱で腫れ物も多かった幼少期。
体調がすぐれない母にかわって叔母に大切に育てられた勘助少年の、
幼いながらに周囲を観察した風物の描写や考えた内容が
かざらない文章で描かれています。

1910年(明治43年)(1912年説もある)、
25歳(or27歳)に回想しながら執筆したようです。

「よく覚えてるな!」というのが最初の感想。
すごいわ。

あと、文化風俗に時代を感じるところはありますが
(文明開化から20年経ってないんだもんなあ)
文章はとっても読みやすいです。
子どもの感受性というか、何に腹を立てて
何に喜ぶか、というのも、時代は感じないですね。
スッと共感できる。
こういうこと思うよなあ子ども時代って、と。
勘助少年の感性、だいぶ独特だけど。

とにかく病弱で、文字通り頭でっかちのひょろっとした子どもで、
叔母さんに甘やかされまくって超絶内気で。

ってとこまで読んで、ちょっとごつめの面相を想像しつつ
wikiを見てしまいました。

意外とイケメンな写真が出てきてびっくりした笑。
誰だお前!

若かりし頃の野上弥生子が、同じく若かりし頃の中勘助に
懸想したというのを何かで読んだ記憶があり、
「またまた〜、超絶才女の弥生子様ですよ!」と失笑していたんですが。
これは、ちょっと女好きのする顔かもしらん。
頷ける…!

ちなみに中勘助、生涯を通じて文壇には興味がなく、
距離をとっていたというのもどこかで読んだ。
なので、ご隠居感というか、仙人ぽさ(熊楠!)も併せて想像していたので、
意外と(?)シュッと洗練された感のあるナイスミドルじゃないか、と。
勝手に裏切られた気分である。
ホントに勝手ですけど笑

夏目漱石に絶賛され、文庫の解説を和辻哲郎が書いているあたりも
なんか、愛され系なんだろうな。

幼少時代の描写や人間関係は、ぜんぶが真実とは思わないけれど、
とても綺麗な文章で、読みやすいです。
ページ数もそんなに多くないので、
外出自粛の午後なんぞにのんびり読むのに良いかと。

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