思惟石

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『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』おなかすいた。

2020-07-20 10:02:16 | 日記
料理エッセイの名作と言われています。
シャンソン歌手石井好子のフランス留学時代と
ヨーロッパの美味しい料理の思い出&つくりかたが
上質な文章で綴られている
『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』

めっちゃお腹が空くか、
美味しい気分になってまどろみたくなる、
贅沢な本です。
(余談ですけど、最近、年齢のせいなのか
 流れるような上手な文章を読むと気持ちよくなって眠くなります)

初出は『暮らしの手帖』の連載エッセイで、
著者が、戦後間も無く(1951年で、当時29歳である。すごいな)
アメリカ・フランスに渡った際の思い出と食べ物、
その作り方まで紹介してくれます。

おいしいものを山盛り食べたくなる!

留学当初は、あまり料理が得意ではなかった様子。
あちらで珍しいもの美味しいものにたくさん出会って、
ついでに日本食も恋しくなって、
いろいろと工夫しながら料理を身につけたらしいが、
その後は台所に立つのが大好きだったそうで。
文章が「自分で毎日つくる人」の表現なんですよね。
卵の焼ける描写(やわらかい卵のひだをつくる)とか、
あつあつのスープを食べて欲しいから土鍋でサーブする、とか。
なにそれおいしそう!

欧米での「初めて食べた味!」の食欲旺盛な体験に加えて、
その後、なんどもつくって「自分の味にした」と思われる
簡単なレシピというかつくりかたが、ものすごく良い。

この人が美味しい、簡単だからやってみて、と言うなら、
つくりたいし食べたいなと思わせられます。
おなかすいた。

檀一雄がレシピを現実的にしたというか、
女心に気づいたというか笑、そんな感じもします。しないか。

渡仏が51年、執筆が63年。
というわけで「生ハム」「パエリア」という言葉が
日本で通じなかった(存在しなかった)のでしょう、
わかりやすく説明してくれている箇所などもあり、
時代を感じて楽しかったりもします。
一方で、今も鮮度抜群の香り立つエッセイ。

すごい。
あと、おなかすく。
コメント
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