思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

【読書メモ】2012年12月

2020-04-14 15:51:03 | 【読書メモ】2012年
<読書メモ 2012年12月>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。

『ぬしさまへ』畠中恵
若旦那シリーズの第2弾。
解説で『百鬼夜行抄』との相似を指摘されて、
いや、そうか?と思った。
そこまででもないが、女子に受けそうなところは似てるか?

(病弱な若旦那と妖怪が出る<しゃばけ>シリーズの第2弾。
 (もうひとつのひらがな4文字系シリーズは<まんまこと>シリーズです)
 6つの短編が収録。

 解説で触れているのは、今市子さんの漫画『百鬼夜行抄』。
 こちらは、綺麗な絵で、結構深い人間の業が描かれていたり。
 万人が納得する結末(正解)ではないこともあるけれど
 登場人物がちゃんと選択をしている読後感があったり。
 なかなか味わい深い名作漫画です。
 超おすすめ!!!

 で、似ている点は…、なんだろう?
 個人的にはまったくわからん。

 祖父が妖怪を置き土産にしたってことくらいかな。

 読み口の「軽さ」という意味では、
 <しゃばけ>シリーズの方が、コミックっぽいな、と思います)


『夜歩く』横溝正史
”せむし”が、今ではあまり使わない用語だからだろうか、
読み仮名振らずに”傴僂”のままふんわり掲載するのはどうかと。
まったく読めなくて、しばらく意味がわからなかった…。

(金田一耕助シリーズの長編作品の第3作です。
 とはいえ、金田一先生が出番は後半、ちょっと少なめ。
 東京の名家のお屋敷から、岡山の超田舎まで舞台が移動し、
 直線距離と連続殺人のギャップが横溝正史らしい安定感!
 (ちなみに『八つ墓村』『悪魔の手毬唄』の舞台も岡山の寒村です)

 人間関係や、語り手の複雑な心持ちがおもしろくて、
 私は金田一シリーズの中ではすごく好きな作品です。

 でも!ポンコツだから!
 すっかり忘れちゃうんですよね…。

 2012年に読み、その7年後、犯人やトリックどころか
 読んだ事実すらキレイに忘れて再読した私がいます。
 我ながらすごいよなあ…)


『髑髏検校』横溝正史
昔の芝居っぽい話し。
徹頭徹尾盛り上がってヒーローヒロイン出まくって、
でも何も解決しない!という。
途中で飽きてやめてしまった。

(江戸時代が舞台で、おどろおどろしい髑髏検校が夜な夜な闊歩しつつ
 美少年やら、耽美やら、幻術やら、妖異やら、鮮血やら。
 ミステリーというよりちょっとレトロな怪異譚といった感じですかね。
 読了してないんですが、知った風に言うと
 『髑髏検校』と『神変稲妻車』の中篇2作が収録されています。
 金田一シリーズとか、ミステリーの御大・横溝正史を求めている人(私!)には
 合わないかもしれないな、という作品です)


『完全なる首長竜の日』乾緑郎
王様のブランチで紹介しているのを観ておもしろそうだと思ったので
セブンで見かけて購入した。
おもしろかった。
同じような表現の繰り返しが多くて、狙っているのか、
表現がかぶっちゃう人なのか。とは思ったが。

(『このミステリーがすごい!』大賞(2010)の大賞受賞作。
 主人公である女性(少女漫画家、独身、女性)が
 意識不明の弟と先端医療技術を使った「センシング」で
 真相意識下で対話をする。
 という設定からして、おもしろい。

 弟は自殺未遂によって意識不明になり、
 その理由はどんなに対話をしてもわからない。
 代わりに子ども時代の記憶がなぜか思い出されたり。

 夢かうつつかわからない不可思議なことが起き始め、
 当然のように「現実」と「センシング」がごっちゃになってきて…

 ついつい、どんどん読んじゃう。

 賛否あるみたいですが(そして映画版はめっちゃ評価低い!)
 私はおもしろく一気読みできました)
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【読書メモ】2012年11月

2020-04-13 17:11:19 | 【読書メモ】2012年
<読書メモ 2012年11月>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。

『照柿(上)』高村薫
ブックオフで買ったの、2冊とも下巻だったので
上巻を図書館で借りてきた。とほほ。

(シレッと書いてますが、
 日々のなかで何気なく自分のポンコツが発覚すると
 なかなかのダメージですよ!泣き笑い!!
 個人的には、私の本棚あるあるの一部なんですが。
 でも、「下巻」を二冊買って、そのまま気づかず積ん読してたのは
 さすがに、ちょっと、ショックだわ…。
 気付こうよ…)


『エコー・パーク』マイクル・コナリー

(メモなし。
 <ハリー・ボッシュ>シリーズのシリーズ12作目。
 つまみ食い読みです。
 この時は、あまりピンと来なかったのですが、
 2015年にシリーズを1作目からまとめ読みした結果としては、
 2番目に好きかなあ、という作品)


『素晴らしき新世界』池澤夏樹
途中でやめてしもうた。分厚過ぎ…。

(これね、おもしろいんですよ。
 悪くないんですよ。
 なのに、2回も挫折してしまって、
 いまだに読了できてないんです。
 なんでかなあ…。
 『キップをなくして』はかなり好きなタイプの作品なので、
 相性が悪い気もしないんだけど、なんでかな…)


『古道具中野商店』川上弘美
若いのに世間からちょっとずれたところで過ごす日々の記録。
川上弘美らしい感じ。
好きな感じ。

(好きなんですよね。こういうの。
 東京近郊の、ちょっとはずれた場所にある、
 あまり儲かってなさそうな古道具屋さんの、日常。
 浮世離れしているような、地に足ついた地味さがあるような、
 不思議な時間が流れる川上ワールド。
 長編と言いつつ、連作短編のようにエピソードが積まれていきます。
 焦らず、まったり、気の向くままに読むと良い一冊です。
 春は、こういう本をカバンに入れて、 おでかけしたいですよね。
 在宅ワークまっさかりですが…)
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武田泰淳『ニセ札つかいの手記』

2020-04-05 16:53:16 | 日記
武田泰淳(たけだたいじゅん)に関する私の脳内情報は、
「くまさん(仲の良い先輩)、武田百合子が好きだよなあ」
以上。
奥さんの情報しかない笑

そんな泰淳ですが、先日、『騎士団長殺し(2)』を
買おうと思って入った本屋で
(ハルキの品揃えが!!!ちょっと!!!)
ふと手に取ったものです。
まあ、ちょっとは興味があったのです笑

『ニセ札つかいの手記
武田泰淳異色短篇集』

中公文庫から2012年に刊行された短編集。
「異色短編集」と銘打っているだけあって、
ヘンテコな話しがセレクトされています。

ちょと、作風には、バラつきがありますね。
おもしろいのだけど、一冊としてのまとまりはないというか、
武田泰淳がどういう人なのか掴みにくいというか…。
他の有名作品を読んでから手に取るのが正解かと思います。
反省した。

収録作は、
『めがね』『「ゴジラ」の来る夜』『空間の犯罪』
『女の部屋』『白昼の通り魔』『誰を方舟に残すか』
『ニセ札つかいの手記』の7編。

個人的には表題作(源さんのこと好きすぎ!)と
『白昼の通り魔』がよかった!

前者は本物のお札が良いものなのか、
ニセ札こそが特別なのか、を真面目にぐるぐるぐるぐる
考えてしまうところが、よかった。
主人公のそういうところが、すごく魅力的です。

後者は大島渚の有名な映画「白昼の通り魔」の、
文字通り、原作らしい。
知らなかった〜。
編者であり映画評論家でもある高崎敏夫による
解説のエピソード(この映画をやろうと決心して、
仲間が直ちに本屋に走ったが、東京中で四冊しか見つからず云々)
も一読の価値あり、です。

他の5編も、それぞれ、ヘンテコで、おもしろくて、
武田泰淳の有名作品を読んでみたいと思いました。

しかし、ちょっと「ヘンテコ」具合が幅広すぎて、
イマイチ泰淳のことが掴めないんだよなあ。
そういう意味で武田泰淳の入門本ではないな。
反省した。
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【読書メモ】2012年10月②今月の金田一先生

2020-04-03 12:32:32 | 【読書メモ】2012年
<読書メモ 2012年10月②>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。
相変わらずのゆるいペースで
<金田一耕助>シリーズを読んでいます。


『病院坂の首縊りの家』横溝正史
風鈴モチーフに生首をぶらさげる、の動機が
説得力ないように思うのだけれど…いいのかな。
相変わらず殺人防御率が低くてお見事です。

(めちゃくちゃ長いです。
 と言っても400ページくらい、
 つまり0.4キョーゴクですね。
 1キョーゴクは1000ページです、ちなみに。

 第一部が昭和28年が舞台の「生首風鈴事件」
 第二部は20年後(!)の昭和48年、
 新たな連続殺人事件が起き、
 金田一耕助による20年越しの解決編。

 金田一耕助最後の事件でもあります。

 どうでも良いですが、金田一シリーズの
 “タイトルだけ選手権”があったら、
 私はこれが一番好きです。
 語呂がいいよね!)


『首』横溝正史
短編集。映画監督の首が岩の上に置かれているはなし。

(読書の備忘録として、上記はどうなんだ。
 我ながら、このメモを読んでも何も思い出せない…。

 ちゃんと書くと、
 生首だの、首なしだの、腐乱死体だの、
 猟奇系のネタが詰まった4つの短編集です。
 ザ・昭和の探偵小説!って感じの
 ちょっとおどろおどろしいモチーフてんこもり!

 タイトルは
 『生ける死仮面』『花園の悪魔』『蠟美人』『首』
 それぞれのトリックもちゃんとしていて、
 シリーズ内では評価高めの短編集ではないでしょうか)
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村上春樹『騎士団長殺し』(1)

2020-04-01 16:12:27 | 日記
2017年に発表された、そこそこのボリュームの長編です。
このご時世ですし、まとめ読みしよう!
と思って手をつけました。
村上春樹の『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編(上)』

新潮から出版された単行本は
第1部「顕れるイデア編」と
第2部「遷ろうメタファー編」の2冊。

私が読むぞ!と思って(駅でフラリと)買った
新潮文庫版だと、全4冊。

で、これがその「1」。

全何冊に分かれているのかイマイチわからないまま、
まずは一冊読了。

妻と別れた主人公(おなじみの設定!)である肖像画家が
友人の父が遺した辺境の家に仮住まいして、
なんか、不穏なアレコレがはじまったぞ…。
というところまで。

パラレルストーリーがあるとの前情報だったけれど、
そこまで行かなかったので、
さっそく「2(第1部下巻)」を買おうと本屋に寄ったら、
な、なんと!なかった!
村上ラヂオの文庫はあるのに!
川上未映子のインタビュー本はあるのに!
エッセイだけじゃなくて小説を置いてくれ!!
いや、たまたま売り切れていたのかもしれないな。うん。

まあいいや。
私が好きで、私が読めば、それで良いってことです。

とりあえず、どうでもいい感想ですが、
「1」は何かとオペラが出ましたね。
ジャズやクラシックは控えめ。

日本画風の不思議な絵画「騎士団長殺し」は
飛鳥時代の衣装を着た人物が描かれているが、
モチーフはモーツァルトのオペラ『ドン・ジョバンニ』。

オペラも古典日本画も、素養がないからついていくのが大変!
上田秋成が来た!よっしゃ!と思ったら
『雨月物語』ではなく『春雨物語』である。
マイナー路線いくよね!
でもがんばってついていくよ!

というわけで、近所の大型書店で文庫を買うところから始めます。
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