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チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』

2018-05-24 10:56:31 | 日記
チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』
翻訳は円城塔。

タイトルからしてSFですし、
新☆ハヤカワ・SF・シリーズで刊行されてますが、
解説によると「家族小説」だそうです。

個人的な感想を言うと、
SF的モチーフが文章に多すぎて、
本筋のストーリーがちょっと理解できなかったよ……。


いや、でもね、結構おもしろかったですよ。

お話しとしては、タイムマシン修理工の「僕」31歳が
時空の狭間を漂いながらお仕事したり、
繊細なこども時代をふり返ったり、
繊細なこども時代に実際に戻ったりします。

作者は本気の理系の人だそうで、
私には、真面目なんだかユーモアなんだかわからんレベルの
宇宙設定やら何やらが、わからんなりに楽しいです。

たとえば、彼が存在するマイナー宇宙31では、
音楽やニュースは文字通り「クラウド」で得られるらしいのです。

「地下鉄では、隣の男がニュース・クラウドに頭を突っ込んでいる」

クラウドは、キラキラした霧状?のようなものらしく、
役割を終えると大気中に雲散するようです。
かわいい。

当然の技術として、しれっと文章中に放り込んでくるので
こちらの理解力しだいな表現が多いのだけど、
まあ、ぶっちゃけ「理系なんじゃこらワード」が
わからなくても問題ないのです。

ハードなSF用語っていうより、
設定も文章も飄々とした理系小説という感じです。
まあ、ちょっと、なんじゃこらってくらい
難解なワードが多いけど。
ちょっと抜粋すると、

「TM-31の標準モデルは、最先端の継時上物語技術によって駆動する。
クアッドコアの物理エンジンに載せられた六気筒の文法ドライブは、
応用時間言語学的なアーキテクチャを提供し、そいつはレンダリング
された環境、つまりたとえば、物語空間なんかにおける自由航行を可能とする」


はい、もう全然わからない。
ここまで来ると理解の彼方!

私的には『火星の人』
「水素を燃やして水をつくるよ!」ってくらいの
理系レベルがギリです。いや、よくわかってないけど。
(そしてどうでも良いけどワトニーかっこいい)

後半は怒涛の難解理系展開で、
結局、失踪したお父さんに会えたんだっけ?
という感じで読了してしまったのですが……。
「僕」の思考は意外と読みやすくて
自分の人生を一歩前進させる決意ができたのは
良かったなと思いました。
いや、よくわかってないけど。

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