思惟石

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愛に溢れてるけど!『愛なき世界』三浦しをん

2022-05-24 13:13:40 | 日記
『愛なき世界』三浦しをん

T大学理学部生物科学研究室の松田ゼミのメンバーと、
赤門近くの洋食屋・円福亭のコック見習い藤丸くんの物語。

植物学も、「学ぶ」ということも、日々の暮らしも、愛おしくなる。
良い世界!!良い読書時間!!

松田ゼミは植物の研究をしていて、
藤丸くんが恋する博士課程の本村さんは
「愛だの恋だのない」植物(シロイヌナズナ)の研究に
全てを捧げると決めている。
あ、『愛なき世界』って、そういうタイトルだったのか!
もっと不穏なお話しかと思って、身構えちゃった。
新聞小説=“昼ドラっぽい”という謎のイメージに引っ張られまして笑
不倫ばっかりの短編集とか連想してしまった。

ちなみにこの小説、元々は読売新聞の連載小説なのです。
突然脱線しますが、新聞小説といえば、新入社員の頃の同期女子が
毎朝、日経新聞を熱心に読んでいたのです。
勉強熱心だなあ偉いなあと思っていたところ、彼女曰く
「“あいるけ”の続きが気になっちゃってさ〜」と。
『愛の流刑地』を熱烈に読んでました。
ああ、それ、流行ってるよね…。
それ以来、新聞小説って昼ドラっぽいイメージだったんですよね。

(そんなわけないか。
『聖なる怠け者の冒険』『横道世之介』も新聞小説じゃないか)

それはさておき。

T大の理系人間の生態は、とても愛おしくておもしろい。
みんなマジメで、みんなどこか抜けていて、みんな愛に生きている。
サボテンが好きすぎるとか、芋が好きすぎるとか。
安田講堂前の植え込みが芋になっていても、まあ、
気づかないかもしれない。うらやましい。

松田ゼミが入っている理学部B号館(古い石造建築)は
東大理学部2号館のことだと思います。
東大建築を設計しまくった建築家・内田祥三による煉瓦造建築。
わたしは建築学科が入っている工学部界隈(1号館は登録有形文化財)に
お邪魔したことがあるけれど、
堅牢で荘厳な石造建築で夏でもひんやりしているような、
独特の雰囲気がある空間でした。憧れるよね!
ちなみに堅牢すぎて、携帯の電波が全然入らなかった。

植物学の研究内容や、T大の生活がすごく細やかに描かれていて、
どうやって取材したんだろうかと思ったら、
『舟を編む』を読んだ東大の先生から三浦氏に売り込みがあったのが
執筆のきっかけらしい。
それもまた、おもしろいな!!

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