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佐藤正午『鳩の撃退法』むずかしい

2018-04-06 22:33:38 | 日記
知られざるベテランという感じで、
けっこう今更感も漂わせつつ直木賞をとった作家さんの、
受賞直前の、話題作です。

内容は、ふたつのメインとなる事件があり
それを元小説家の津田が振り返りつつ
虚構も織り交ぜつつ、綴っているという体裁。

物語の軸であるふたつの事件とは
「幸地(こうち)家の一家失踪事件」と、
「ある地方都市での偽札事件と裏稼業事情」。

そのふたつに、意図せず随所で関わるはめになった津田。
もう、元小説家として、なんらか形に残さずにいられない。

という感じで、津田の視点でもろもろ綴られていくのです。

なので、小説はすべてが真実というよりも、
津田の妄想(曰くプロの技)で勝手に描かれていたり、
推理か妄想かわからないところも多々あり。

ちなみに、執筆当時(X年10月とする)を起点としての
発端の事件の年月日(多分、Xー2年、2月28日)が
わかりにくくて、筆者(津田)がいつ時点の視点をもって
物語をかたっているのか、が
意図的だと思いますがわかりにくい構造になっています。
つまり、その都度、「僕が知っていることには限りがある」
「小説家としての想像で書いている」的スタンスを
地の文に、言ってくるわけです。

おい。
何を頼りに読めというのだ。

まあ、そこが面白味なもかもしれませんが。

時制があちこちに飛んで、
信頼すべき語り部への信頼性も乱高下するので
ある意味、スリリングな読み応えの小説です。



と、ざっくり書きましたが、
個人的には、なんだかなあ、です。
過去の読書メモの整理業に逃避するくらい、
読み切るのに手こずりました。

なんかね、津田がね、ぜんぜん魅力ない。

元直木賞作家、と連呼するわりに
全く気の利いたセリフとか言えないんですよね。

「たは」とか「LOL」とか
とにかく恥ずかしいレベルの言語センスです。
加奈子先輩に「(お前の言葉は)心に届かない」
と言われたのが、全てだと思います。
大丈夫か、作者。
そこで本質を突くな。

とある恋愛小説の帯への反論も
何度も「気の利いた決め台詞」として
反芻されるんですが、
そんな大層なもんか?!ってレベルで
読んでるこっちが辛くなるからやめて!!!
と思うくらいです。

多分、好きな男性は好きなんですよね、
佐藤正午。

そもそもが、
こいつとは気が合わないな・・・
と思った取引先の先輩が
「ぜったいおもしろい!キミも読むべき!」
と言って薦めてくださった(約10年前)
『永遠の1/2』と『ジャンプ』を読んで
ああ、合わないな・・・と思ったのでした。

同時に、好きな男子は、好きなのだろうな
(私とは永遠に相容れないけどな!)
とも思った記憶が。

要するに、個人的に合わなかった、っつう話しです。







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