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『コルシア書店の仲間たち』須賀敦子

2022-02-24 16:44:24 | 日記
『コルシア書店の仲間たち』須賀敦子

イタリア文学者である作者がミラノに住んだ
30歳からの10年あまりの間のエッセイ。
コルシア・デイ・セルヴィ書店を中心に知り合った
人々にまつわる回想記です。

コルシア書店は、思想を持った書店というか。
1960年代ミラノでの「カトリック左派」とか
「学生が集まって気炎を吐いている様」とか、
戦後の思想活動的な背景があるようなのだけれど、
作者はそういう政治的なことはあまり表明しないんですね。

なので、読んでいる私たちも、
作者の友人知人たちとの交流を、作者の眼を通して眺めている感じ。

いろいろあるかもしれないけど、ステキな人だね!みたいな。

ちなみに塩野七生『皇帝フリードリッヒ2世の生涯』を併読しているので、
「ロンバルディア気質」「ミラノ人あるある」
「ミラノの壁の内側外側の違い(神戸は山側が金持ちエリア、みたいな)」
の方が「最近、それ読んだ!」というおもしろさが感じられました。

個人的には、
ドイツの若者と結婚したイタリア人の女の子のエピソードが
印象的でした。
彼女の母はシチリア人でローマ育ちなのだけど。
一方で、父はハンガリー系ユダヤ人。
父の両親は強制収容所で亡くなっていたことを
娘さんは高校生まで知らなかったという。

戦後が文字通り「戦争の直後」で
今を生きている人の人生につながっている話だと思って
強く心に残りました。

ちなみにカトリック左派はアッシジのフランチェスコまで
さかのぼる思想らしいです。
それもフリードリッヒに出てたね!読んだよ!!
(よくわかってはいない)

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