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『大唐帝国―中国の中世』 読みやすくておもしろい中国史本なら、これ!

2023-07-13 11:00:18 | 日記
『大唐帝国―中国の中世』
宮崎市定

これね、中国の中世史を概観するための名著!なのですが、
初版が1988年なんですよ。
あれ?意外と古い?
そう、30年以上も前の文章と内容なのですが、
めちゃくちゃ読みやすくて分かりやすいのです。
良い一冊!!
古典の古典だな!!

ちなみに「大唐帝国」と銘打ってますが、
漢が滅びる220年からスタートです!
そして唐の成立は618〜907年!だいぶ先!!
読むコテンラジオかよ。

中国の中世700年(長い!)を描き切った大作であります。
漢が滅びて、三国〜六朝〜隋唐〜五代にいたる740年。

この期間は、欧州で言えば、民族大移動に始まり
神聖ローマ帝国を経て十字軍の終焉にいたる
870年の歴史に相当するとのこと。
長いなあ。

五胡十六国時代は、有象無象の国で力技の「禅譲」が大量発生。
まったく「天意」を感じないパワー禅譲っぷりで
歴史の悲哀がすごい。
(前王家はだいたい皆殺しにされる)

北方異民族系の「漢民族化」(「華化政策」と表現する)などは、
なるほど〜と。
異民族だと支配する文脈もないし、民意がついてこないし。
自分達が漢化してしまう方が統治がスムーズなんだな。

司馬睿の流れを汲む東晋の「人気のなさ」もおもしろいです。
宮崎先生は流寓(りゅうぐう)政権と表現している。
洛陽から建康(南京の古名)へ都落ち状態なのを棚上げして
貴族然として現地人を馬鹿にするし税制で差別しまくるし、的な。
私でも「お前ら帰れ」と思うな。

短めの章立てで、テンポ良く語ってくれるので読みやすい。
ザ・名著!

以下メモ。

・五胡十六国の「五胡」は、
 モンゴル系とされる匈奴 (きょうど) ・羯 (けつ) ・鮮卑 (せんぴ) と、
 チベット系の氐 (てい) ・羌 (きょう) の五族

・モンゴル系の名前、かっこいい。
 拓跋珪(たくばつけい):強そう。(強い。魏をつくる)
 慕容皝(ぼようこう)・慕容儁(ぼようしゅん)・慕容垂(ぼようすい):
   名前が華やか。手本見ながらでも書けない。
 禿髪烏孤(とくはつうこ):あだ名じゃないよね?
 姚興(ようこう):イケメンぽい。鳩摩羅什(くまらじゅう)のパトロン。
 沮渠蒙遜(そきょもうそん):焼酎の銘柄でありそう。
 赫連勃勃(かくれんぼつぼつ):ジャンプ系マンガの必殺技かな?

・聖徳太子の遣隋使が来たのは隋の煬帝(ようだい)の治世。
 煬帝は河川を繋ぎまくった人。

・武川鎮(ぶせんちん)
 そもそもは柔然(じゅうぜん、北方のモンゴル系国家)から
 辺境を守る六鎮(ろくちん、6個ある)のひとつ。
 なぜか武川鎮からばかり英傑が出る。
 「王気」が集まりやすいらしい。パワースポットか。

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