思惟石

懈怠石のパスワード忘れたので改めて開設しました。

堀江敏幸『熊の敷石』 2001年芥川賞受賞作

2018-05-15 17:46:55 | 日記
堀江敏幸氏の作品は、初めて読んだのが『めぐらし屋』で
「好きだな」と思ったのですが、
それ以降、なぜか縁遠いままでした。
なぜだろう。

と、思い立ったが読み時、ってことで。
芥川賞受賞作『熊の敷石』です。

単行本には『熊の敷石』『砂売りが通る』『城址(しろあと)にて』
の3本を収録していますが、
表題作がページ数の3分の2ほどを占めています。

もちろん表題作が2001年芥川賞受賞作でもある。
うん、とても良い。
他の2作も良い。
解説が川上弘美なのも良い。
好きな小説です。

難しい言葉は大して使っていないのに
教養を感じさせる文章で、でも読みやすい。
読んでいて気持ちいいです。

でもね、なんていうんですかね。
清冽さのような魅力を感じるのだけど、
その魅力に、ちょっとだけ、不安を覚える感じ。
好きだけど、好きだと言いたいけど、
一定の距離以上に近寄ると戻れなくなりそうな感じというか。
川上弘美は解説で「いろっぽいのだ」と言っています。

あと、オノマトペを使う際に(あまり多用しないけど)
独特な表現をするのも良いですね。
「その大半がぷつぷつと宙に消えたのを見届けてから」
「ぺなぺなした航空便の封筒」とか。

ちなみに作者は仏文学者でもあるそうです。
ちょっと変わったタイトル
『熊の敷石』『砂売りが通る』は、
フランス語での格言や喩えだそうです。へえ~。

フランス語で眠くなることを「砂売りが通る」と言うとか。
「熊の敷石」はいらぬおせっかいという意味だとか。
へええ~。

何はともあれ、この作者は好きな作者だ!

次は川端賞・谷崎賞受賞の『雪沼とその周辺』を
読もうと思います。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 熊谷達也『氷結の森』森シリ... | トップ | 【読書メモ】2008年2月~5月 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事