思惟石

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『蛇の言葉を話した男』エストニア御伽噺

2022-03-07 15:13:16 | 日記
『蛇の言葉を話した男』
アンドルス・キヴィラフク
関口涼子:訳

エストニアのおとぎ話のような物語。
かなり分厚いんですが、
強烈なキャラクターや、ヘンテコエピソードが
次から次へと出てくるので
あっという間に読めました。

かつては森に住み「蛇の言葉」を話していたエストニアの人々。
キリスト教圏から来た騎士や聖職者から文明を得る代わりに、
森から離れ、街をつくるようになった時代。

主人公は“蛇の言葉”を話す「最後の男」、森に住む「最後の男」。
エストニアの古い時代の、あらゆる価値の「最後」を
背負うこととなった「ぼく」の物語。

幼少期のサラマンドル探し、森の不思議な風習、
蛇の言葉の習得、蛇の親友、蛇穴での冬眠
思春期まるだしの小っ恥ずかしい恋、
毒の牙を持ち人骨の翼で空を飛ぶクレイジー祖父との旅。
おもしろかった〜。

単なる自然礼賛ではないのが良かったと思う。
森の風習にしがみつき、いんちき精霊術を操る老人がいたり。
単純に懐古主義してないところが、いい。

ラストが、冒頭の一行に繋がっているのも良い感じ。
かつてミヒャエル・エンデを読んだ大人のファンタジーというか。
いや、誰が読んでも良いんだよ!良い!
コメント
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