白鳥は、龍ヶ崎市の「市の鳥」である。これは、龍ヶ崎市の牛久沼に数十羽の白鳥が住みついて、市民に愛されていることによるが、初めは、1963年に皇居のお濠のコブハクチョウのつがいを譲り受け、その後、市及び市民が面倒を見て、徐々に増えた結果であり、途中、いろいろと苦労があったようである。
多くは、牛久沼の南東端の保護区付近にいて、普段もそこにいたり、給餌の時間に戻ったりしているようである。中には、牛久沼へ流れ込む支流にほぼ定住してしまっているものもいるようであり、他へ移り住んでいるものもいそうである。
昨年あたりから、旧小貝川に一組の白鳥家族がいたが、父親が沼の中に放置された釣り糸に絡まり死んで、そのうちの
子の一羽だけがそこに残り、付近の住民の面倒などにより無事に育った。
成鳥になってから、時々、見当たらなくなる時があったが、今年になって、もう一羽増えて、
つがいになっているようであった。成鳥になった白鳥がどこかから連れ合いを探してきたようであった。
5月13日、その後どうなったかと、そこに立ち寄ると、数人が来ており、だいぶ様子が変わっていた。つがいになった二羽に卵が産まれ、現在温めているところであった。
しかし、一羽の足にルアー針がかかっていた。
大きな成鳥になっていたので、野犬や、蛇などにやられることはないと思っていたが、親鳥と同じに、釣り針にかかってしまったようである。心配していたことが再び起こった。
今は、2羽で仲良く
雌は卵を温めている
雄の脇腹に何かが
足を揚げると、水かきにルアー針がついていた
近所の人が心配そうに見ている
そこにいた人に聞くと、市役所に連絡したところ、早速見に来たそうである。帰って市役所に電話して聞くと、翌日、その白鳥をつかまえて、ルアー針をはずす段取りになっている、とのことであった。
その沼には、多くの釣り人が来て、芦などの水草に多くの針や糸が引っかけ放しになっているようであり、注意を喚起するには新聞を通じて知らせるのが良いと思われたので、朝日新聞に電話すると、取り上げて、早速翌日の朝刊に載せてくれた。
翌日朝9時頃、現地へ行くと、7,8人の人が集まっていた。すでにその白鳥を捕まえて、ルアー針をはずし、ほとんど傷もなかったので、そのまま放したそうである。
雌は、ちゃんと卵を温めていたが、針を外されたほうの白鳥は近辺にはいなかった。白鳥のためとはいえ、急に人に捕まえられたので、警戒心を起こしたものと思われた。
いずれ、前のように人なつっこくなると思うが、沼にはまだ沢山の糸や針が残されていると思われるので、今後もまたかからないかと心配である。
日頃、人になついていて、人が行くと、直ぐそばまで来て、パンなどをあげると、直接手から啄むほどで、人々に愛されている。これからも元気でいて貰いたいものである。
旧小貝川
後日、5月18日、友人から聞くところに依ると、白鳥の卵はカラスに奪われてしまったそうである。動物の世界の厳しい生存競争を感じる。大きくてゆったりとした白鳥が、すばやくて知恵のあるカラスにしてやられたように思われる。残念なことだ。
5月20日のテレビニュースによると、佐渡の野生化中の朱鷺の卵をやはりカラスに奪われてしまったそうである。親が2羽とも巣を離れた時に持っていかれたらしい。おっとりした大きな鳥は、カラスに狙われやすいようだ。これも残念な話しである。
その後、
6月11日に再び行ってみると、白鳥夫婦には4羽の子供がいた。カラスに奪われなかった卵が孵ったようである。