白鳥は、「龍ヶ崎の鳥」として広く市民に親しまれており、多い時には70羽程度になったが、
その後、増減して、現在では30羽程度がいる。市の援助もあり、依託された人の献身的な
努力もあって、市内の沼や川などに住みついている。
今年も3~4月頃から、数カ所で卵を温める姿が見られ、微笑ましい親子の姿が見られるもの
と楽しみにしていたが、白鳥を取り巻く環境にも厳しい面があり、いくつかのドラマがあった。
5月の始め頃、5月4日、牛久沼の一角で3羽の雛が生まれていた。6日には泳ぎだし、
親に守られて元気に育つものと見られていた。
しかし、その後、冷たい雨が降り、濡れた雛たちは亡くなったそうである。
親の羽の下から顔を出す
子供達は泳ぎ始めた
親も見守る
これらの子は、数日後、冷たい雨で、体温が下がり、死んだそうだ。
牛久沼支流・根古屋川の家族
元気です
7月1日現在、親子は、他の白鳥が来る給餌場に来て、仲間に加わっていた。
他の白鳥にいじめられると思われたが、逆に他をいじめるようになった。
給餌場の一区画に、一家族で入れられている。
7月27日 子供達も大きくなり皆で羽繕いをしていた
牛久沼支流・西谷田川の家族
元気です。西谷田川から沼への河口付近を、親子で泳いでいた。
7月8日 この家族は、生まれた巣のある入江にいた。
子もだいぶ大きくなった。しかし、他の群れとは交流していない。
旧小貝川では、3年前に親を亡くして1羽だけとなった雛が、周囲の人に守られて成鳥になり、翌年い
ずれからかもう1羽を連れてきてつがいになり、5羽の雛が生まれ、そのうち3羽が成鳥となり独立していった。
次の年の春、再び抱卵して、1ヶ月近くになってそろそろ雛が生まれるかと期待されたが、沼の水位が上がり、
巣が水没して雛が生まれることはなかった。
今年も、前年と同じ場所に巣を構え、4月頃から抱卵していたが、5月の始め頃6羽の雛が生まれた。両親に
守られていたので、元気に育つものと思われていたが、順調にはいかなかった。
今年4月頃、抱卵中 ・ 水面近くに巣があり心配されたが、水没は免れた
5月11日、両親に守られて泳ぐ6羽の雛が見られた
雛は、主として母親について動き、父親が見守っている。
その後、なぜか父親が亡くなったというので、5月31日、行ってみた。
確かに親はもはや一羽だけで、6羽の雛はその母親と一緒にいた。
片親で6羽を育て上げることができるか心配された
沖を泳ぐ母親と6羽の雛
その後、6月2日に行った人の話として、雛が2羽だけ居り、他には全くいなかったという。そこで、6月8日、
行ってみると、白鳥は、親も子供も全く居ず、白鳥の居た痕跡もほとんど見当たらなかった。
その後、友人のホームページによると、最後の雛は保護されたとのことであった。
さらにその後、7月上旬、これらの家族の親1羽、子6羽は、近くの家に保護されているとのことである。
これは一応、関係方面に問い合わせた結果であり、ほぼ信頼性できる情報と思われる。
一時は絶望的に思っていたので、まあ、ある程度、良かった。
白鳥は、大きく美しく、人にもなつくので市民にも親しまれる。市から依託された人やボランテア、近所の
人などに面倒を見て貰っていて、牛久沼などに住みついて、市民を楽しませてくれるが、いろいろと
考えさせられることも多いようである。
まず、沼や、旧小貝川は絶好の釣り場であり、多くの釣り人が来るが、芦や草に絡まった釣り糸や釣り針
が放置されて、白鳥を傷つけることがあった。
一方、多くのカメラマンが来て、愛らしい姿をカメラに納めようとするが、度が過ぎて、親鳥をいらつかせ
たり、怒らせたりすることもあり、また沼と水田の間の畦道へ入って農家に迷惑をかけることもあった。
また、白鳥自身も、近くの水田に入り、稲の茎や根を荒らすこともあり、農家の人たちを悩ませてい
たようである。
これらのことを考え、ちゃんとした対策を立てないと、、白鳥と本当に仲良く共存していくのは難しい
ようである。今年、起こった事を思えば、考えさせられる。
その後、7月9日、小貝川の堤防の上を自転車で下流に向かって進むと、旧小貝川近くの堤防の上
に、白鳥の親子6羽がいて、草を食んでいた。
両親がちゃんといるので、旧小貝川にいた家族ではないことがわかった。どうも小貝川から上って来た
らしい。川岸から20~30mくらいはありそうで、犬などに襲われたら、子供は逃げ場を失うと思われた。
たまたま、犬を連れた人が通ったが、白鳥たちは道からちょっと引っ込む程度で、それほど警戒することは
なかった。親は犬ともある程度対抗できそうだし、いざとなれば飛び立つこともできるが、子はそうはいかない
ので、放れた犬の時は心配である。
その後、7月24日早朝、堤防に一家が居たあたりを通りかかったが、白鳥はどこにも見あたらなかった。
いつまでもそこに居るわかはないが、どうなったのか、どこへ行ったのか、心配になった。近所の人に聞き
たかったが、全くだれも来なかった。
その後、8月4日に小貝川の堤を豊田堰まで行ったとき、通りかかった人に聞くと、堤の上にいた白鳥一家
は川に降りているという。堤の上から探したがわからなかったが、藤代側から見ると、水辺に6羽がいて、
一人の女性が見守っていた。近くの人たちが餌を与えているようだ。
その近くの川の対岸に、鴨などと一緒に一羽の白鳥が居た。不思議に思ってよく見ると、通常このあたりに
定住しているコブハクチョウと異なり、渡り鳥としてシベリアなどから飛来するコハクチョウであることがわかった。
3月頃、一緒にシベリアに帰る時、負傷でもしていて飛べなかったのかも知れない。他の鳥と一緒であったが、
可哀想でもあった。