しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

タウ・ゼロ ポール・アンダーソン著 浅倉久志訳 創元推理文庫

2014-02-13 | 海外SF
ダブル・スター」がどうも「…」な気分だったので、SFらしいSF、そう「ハードSF」が読みたいと思い手に取りました。
と言いながらも私の中でのアンダーソンは、「タイムパトロール」「天翔ける十字軍」のイメージでどうも「ハードSF」なイメージがなかったのですが…。

本作‘12年ローカス誌オールタイムベスト94位、1970年発刊。
一般的にはポール・アンダーソンの最高傑作とされているようですが、残念ながらヒューゴー賞もネピュラ賞も「リングワールド」にさらわれています…残念。

昨年12月頃地元の古本屋で購入。

内容(裏表紙記載)
50人の男女を乗せ、32光年彼方のおとめ座ベータ星第三惑星をめざして飛びたった恒星船。 だが不測の事態が発生する。 生まれたばかりの小星雲と衝突し、その衝撃でバサード・エンジンの減速システムが破壊されたのだ! 亜光速の船を止めることもできず、彼らはもはや大宇宙を果てしなく飛び続けるしかないのだろうか・・・・・・? 現代SF史上に一時代を画したハードSFの金字塔登場!

とりあえずの感想「いやーSFだぁ、堪能した!」
なんだか久々にハードSFを読んだような気がしました。
なんとも壮大なスケールとどんどん上がっていくスピード感で理屈抜きに楽しめる作品だと思います。
もっともハードSFなので理屈はありますが…。
私はハードSFの科学理論と本格推理小説のトリック解説部分は流して読むようにしているので気になりません(笑)

光速移動時のウラシマ効果をある意味究極まで利用した作品で、最初は普通に「進むのかなぁ」という話が最終的には壮大なスケールとなります。
細かい点では難もあるような気がしますが私的には「リングワールド」より上な気がしました。
何で受賞できなかったんだろう?

また「ダブル・スター」が「ゼンダ城の虜」のSF版だとすると、この作品はいわゆる漂流もののSF版といえそうです。
小説ではないですが頭に浮かんだのは「エンデュアランス号漂流」。
主人公の「あきらめないリーダー像」と「絶望的状況」が頭のなかで重なりました。
もしかしたら参考にしているかもしれませんね。

最後の方の絶望的状況(宇宙的規模で絶望的だ!)で主人公レイモントの発した言葉。
「私はいやだ」
がとてもかっこよかったです。
「いやだっていったってあんた….」という全宇宙的に危機的状況なわけですがそこから何とか無事落着までに持って行ってしまうのはすばらしいと思いました。

私的にネガティブ評価だったのは、「フリーセックス」的描写と、ヒロインのリンドグレンがしばしば「セックス」で物事を解決してしまっているところ。

あとレイモントがしばしば「暴力」で物事を解決しているところ。
ちょっと気になりました。

解説でフリーセックス的なところは「当時のニューウェーブへの対抗意識ではないか」というようなことを書いていますが流行を追うと後から違和感出ますよね

でも「暴力」の方は非常事態だからある程度しょうがないのか…。
主人公は軍人ですしね。
究極的に暴力を工程するという意味では「宇宙の戦士」と似た考え方ともいえそうです。
(ハインラインほど声高には主張していませんが)
でも「天翔ける十字軍」もある意味暴力的な作品だったような記憶もうっすらあり、この辺はアンダーソンの思想的なものもあるかもしれませんね。

といようなことは若干気になりましたが、それを補って余りある手に汗握る展開で「どうなっちゃうんだろう?」とハラハラしながら一気に最後まで持っていかれます。

難しいことを考えずSFに浸るには最高です。


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