しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

リングワールド ラリィ・ニーヴン著 小隅 黎訳 ハヤカワ文庫

2013-11-05 | 海外SF
終わりなき戦い」がちょっと消化不良で、「SFらしいSFが読みたいなぁ」という期待感のもと本書を手に取りました。
といってもこの作者の作品を読むのは初めてなのでちょっと不安もありましたが...。

本書も「終わりなき戦い」と同じときに川崎のブックオフで500円で購入。

‘12ローカス社ベスト15位、’06SFマガジンで48位とこれまた評価の高い作品。
1970年発刊、ヒューゴー・ネピュラ受賞作品です。

内容(裏表紙記載)
200歳の探検家ルイス・ウーは、パペッティア人のネサスから見せられた一枚のホロに目を向いた。G2型恒星のまわりをとりまく薄いリボン状の構築物。誰が、何のために作ったのか? このリングワールドの謎を探るべく、ルイスはネサス、兇暴な異星人戦士、地球人の若い女らとともに最新型宇宙船に乗りこんで、壮大な冒険に旅立った! <ノウンスペース>シリーズのクライマックスを飾るヒューゴー、ネピュラ両賞受賞作

とりあえずの感想、「職人芸!」
作中よく見知ったSF小説の世界が展開され「安心感」を感じながら楽しく読み通せました。
「ニューウェーブ」の「ニ」の字もない(失礼)感じですが、とても丁寧に書き込まれていて「いいなぁ」としみじみ感じました。
「アーティスティック」ではないかもしれませんが「プロフェッショナル」な技を堪能できる良作かと思います。

最初のルイス・ウーが200歳の誕生日に地球上を瞬間移動で回るところなど、「虎よ!虎よ!」のパロディではないかと思いますが、その他も基本パロディ調で描かれています。
(私程度のSF知識では元ネタがわかりませんが)

メインアイテムである「リングワールド」以外の超光速移動やら、銀河系の共同体、人類の起源論的なものなど基本となる要素はすでに出ているSF作品でネラれたものを使用しています。
目新しさはないですがそれを実に実にうまく料理しています。
その意味では「ハイペリオン」的な成り立ちなんでしょうが「ハイペリオン」より前に書かれた作品なのに肩ひじ張って書いていないのがなんだかモダンです。

構造物としての「リングワールド」は本文だけ読んでいると、大きさのイメージが巨大すぎて良くわからないので「解説」を読んでから読んだ方がいいと思います。
本作「ノウンスペース」シリーズの作品という位置づけもあり、シリーズの前の作品からの一応の約束事的なものも解説に書いてあります。
でもまぁそちらの方は気にせず流して行っても理解には支障はないと思います。

ちなみにリングワールド床面の幅100万マイル=160万km=地球1周(赤道)4万km×40周、う~んスゴイ...けれどいまいちイメージは湧かない(笑)

その巨大な世界を4人組が旅する典型的なロードストーリー(珍道中)ですがその4人が魅力的で楽しめました。

パペッティア人のネサス
「知」担当ですが...なんだかとてもかわいい(笑)
ぬいぐるみにしたいくらいですが実はとんでもない存在、ですが...最後まで憎めない感じでした。

クジン人、スピーカー・トゥ・アニマルズ<獣への話し手>
「勇」担当。
最初は無茶な存在に見えますが、旅が進むにつれて男らしさに魅かれてきます。
(日本のサムライがモデルとの説もあるようです)

地球人 ティーラ・ブラウン
「好運」担当
ある意味一番のキーマン(ウーマン)、キャラ付け弱いですがその理由も読めばわかります。

地球人 ルイス・ウー(主人公?)
「好奇心」担当(?)
語り手的な立場なので、激しいキャラではないですが中立的立場での行動がうまく旅を回していく狂言回し的役割として機能しています。

個人的には、最後の方でティーラ・ブラウンが仲間たちと再会したときに、ルイス・ウーが大爆笑した場面が好きです。
昔のスペース・オペラのパロディ的な場面ですね。
最後の方でミステリ仕掛けな話であったことも分かる展開ですが、そちらの方も50年代SF展開のパロディちっくで安心して読めました。

丁寧に書き込まれた職人芸的良作だと感じました。

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